千葉県長生郡睦沢町と地元企業が設立した新電力、CHIBAむつざわエナジー(睦沢町)は9月13日、台風15号の影響で9月9日から町内や周辺市町村が停電した際、「むつざわスマートウェルネスタウン」に位置する「道の駅むつざわ つどいの郷」や周辺の町営住宅団地に、電力を供給したと発表した。

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周辺店舗や住戸が停電する中、明るく輝く道の駅(左)と住宅(右)

「むつざわスマートウェルネスタウン」は、睦沢町が、地方版総合戦略の重点プロジェクトに位置付けた拠点形成事業で整備した。CHIBAむつざわエナジーは9月1日に、同町で生産された天然ガスの供給を受けて、ガス発電による同タウンへの地産地消のエネルギー供給事業を開始していた。

それから間もない9月9日午前3時頃、台風15号による強風で東京電力の送配電線が損傷し、睦沢町全域を含む千葉県広域で大規模な停電が発生した。同タウンも一時的に停電したものの、自営線(電線)の地中化を行っていたためほとんど被害がないことを確認。同社は9月9日午前9時頃にガスエンジン発電機を立ち上げ、町営住宅と道の駅の重要設備への送電を開始した。

翌9月10日午前10時から、ガスエンジン発電機の排熱等により水道水を加温して、周辺住民への温水シャワーの無料提供を開始した。その後、翌9月11日午前9時頃に東京電力が復旧するまで送電を継続した。

道の駅むつざわは国の重点道の駅に選定されており、広域での災害において防災拠点としての機能を担うことになっている。そこで、整備したガス発電機も、周辺が停電しても、同タウン内の道の駅の一部施設と住宅全戸に対してエネルギーの供給を継続することを可能にしている。

同社は、今回はオープンまもなくで準備不足の部分もあったが、早速にその役割の一部を果たすことができたと報告した。

エネルギーの地産池消事業を展開

CHIBAむつざわエナジーは、2016年6月に設立された。睦沢町内で消費できる循環型のエネルギー供給システムを構築し、環境にやさしいまちづくりを目指すとともに、睦沢町の「スマートウェルネスタウン整備事業」において、エネルギーサービス事業を実施していくことが主な目的だ。

以来、主に自然由来の千葉県産の電力を町の公共施設や民間企業、町民に供給し、エネルギーの地産池消を達成するとともに、そこで上がった収益を町の健康促進事業などに還元してきた。

9月1日に開始した地産地消エネルギー事業では、睦沢町で生産された天然ガスの供給を受けて、ガス発電を行い、その電気をむつざわスマートウェルネスタウンで自家消費する。さらに、発電機から出る排熱で天然ガス採取後のかん水を加温して道の駅に併設された温浴施設に供給する。地域の資源である水溶性天然ガスを100%ムダなく使い切る全国でも非常に珍しい取り組みと説明している。その他にも太陽光発電、太陽熱温水器を併設して再生可能エネルギーの活用も行い温室効果ガスの削減に貢献する。

また、住宅へは、CHIBAむつざわエナジーが自ら保有する電線(いわゆる自営線)で電力を供給する。景観と防災性の観点からすべて電線類は地中化した。

なお、この事業は国の「地域の特性を活かしたエネルギーの地産地消促進事業費補助金(分散型エネルギーシステム構築支援事業)」と「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(民間事業者による分散型エネルギーシステム構築支援事業)」を受けて実施した。

この記事は、環境ビジネスオンライン 2019年09月18日より、アマナデザインのパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせは、licensed_content@amana.jpにお願いいたします。