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データドック(新潟県長岡市)とプラントフォーム(同)は8月28日、寒冷地型データセンターと循環型農法「アクアポニックス農法」を掛け合わせた、世界初の「サステナブルデータセンターモデル」が完成したと発表した。

両社が提唱する「サステナブルデータセンターモデル」は、寒冷地型データセンターの運営によって創出される余剰エネルギー(雪冷熱・地下水・IT機器の廃熱)を、水耕栽培と水産養殖を同時に行う「アクアポニックス農法」で使用するものだ。「環境・社会・経済」の3つの軸を満たす持続可能な新しいビジネスモデルに位置づけている。

このモデルとして、データドックの運営する「新潟・長岡データセンター」敷地内に、国内最大規模の「アクアポニックス農法」を実践する植物工場「アクアポニックス長岡プラント」を建設し、8月28日に完工した。レタスやバジルなどの植物工場の生産物は、長岡市のレストランなどへ2019年秋より順次出荷・販売を開始する。

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「新潟・長岡データセンター」と「アクアポニックス長岡プラント」をモデルケースとして検証・研究を重ね、ノウハウを蓄積することで、日本中の寒冷地で適応可能なビジネスモデルの確立を目指す。

魚の排泄物を養分に有機野菜を育てる循環型農法

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植物工場「アクアポニックス長岡プラント」では、水耕栽培だけでなく、水産養殖を同時に行う。これは、魚の排泄物を養分として有機野菜を育てる循環型農法で、持続可能な農業を実現する農法として世界で注目されているという。

1,000m2あたりのコスト比較(プラントフォーム社調査)によると、一般的な土壌栽培に比べて栽培期間が1/2、液肥栽培の植物工場に比べて2.6倍の生産性、LED型の植物工場と比べて初期コストが1/4、ランニングコストが1/10となり、高い収益性を得ることができるという。

このプラントでは、農産物は、レタス、バジル、いちご、わさび、生姜、ビーツ、スイスチャード、ルッコラ、スナップエンドウ、ミントなどを水耕栽培し、水産物はチョウザメ(キャビア)を養殖する予定。

9月より施設の見学も開始し、システムの外販を行うことでアクアポニックス農法の拡大を目指す。

高スペックのデータセンターニーズに対応

データドックが2018年1月に新潟県長岡市に開所したこの寒冷地型データセンターは、業界最高水準のファシリティ性能と電力効率を備える。雪氷と外気を活用したハイブリッド冷房システムを採用し、年間を通じ機械冷房をほぼ使用しない次世代型のグリーンエナジーデータセンターとして、従来の都市型データセンターと比較し38%の消費電力削減を実現した。

「新潟・長岡データセンター」は、首都直下地震や南海トラフ巨大地震を考慮したDRサイト(災害時の緊急拠点)として、また、GPUサーバーなどで構成されるHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)/AI(人工知能)インフラを設置するメインサイトとしても活用も可能できる。

昨今、ビッグデータという言葉に代表されるように、国内で流通するデータ量の飛躍的な増大に伴い、データサイエンスやAIが注目されている。大規模なデータ処理を必要とするプラットフォームは、高速な演算処理が可能なGPUコンピューティングへと移りつつあり、ディープラーニング分野や仮想通貨分野などにまで活用用途が広がっている。データドックではそれに伴い、電力供給量や冷却能力など高スペックのデータセンターニーズが高まると考え、このデータセンターを開所した。

データドックは、寒冷地型データセンターサービスの提供、プラントフォームは、「アクアポニックス」システムの設計・開発・設置・施工業務などを行っている。

この記事は、環境ビジネスオンライン 2019年09月02日号より、アマナデザインのパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせは、licensed_content@amana.jpにお願いいたします。