国連「環境と開発に関する世界委員会」は、「持続可能な開発とは、将来の世代の可能性を毀損することなく、現代のニーズを満たす開発である。」と定義した。
気候変動により、私たちは、次世代の可能性を損なうことなく天然資源を使用し続けるための優先順位を考える必要に迫られている。サステナブルであることは、全人類の環境的、身体的、経済的な健全性を支えることでもある。
製品寿命を通して「カーボン・ニュートラル」を維持しうるであろう電気自動車を提供していきたいとする「フォルクスワーゲン」と、「真に循環型」企業となるべく再利用可能なガラス瓶の開発を進めるフランスの大手飲料水ブランド「エビアン」、この2社の取り組みについて今回は紹介したい。
フォルクスワーゲンの新型車「ID. Neo(ネオ)」
フォルクスワーゲンはいまだに排ガス不正問題を引きずっているものの、現体制のもとで、新世代の大衆市場向け電気自動車の生産を強めている。昨年、同社は、エントリーモデルのサブコンパクト・クロスオーバー車を最低価格約2万1000ドルで販売すると発表した。同社では電気自動車「ID.」の製品ラインナップの中で、このエントリーモデルの販売台数を20万台と見込んでいる。
しかし、2019年2月のFinancial Timesには、フォルクスワーゲン・グループ、アウディやその他の多くのブランドの調達部門を統括するマルコ・フィリピ氏への興味深いインタビュー記事が掲載された。
ID.のクロスオーバー・モデルに加えて、今年後半に欧州市場で販売が予定される電気自動車ID.Neoも、再生可能エネルギーで充電される場合には、製品ライフサイクルを通じてカーボン・ニュートラルになるようだ。ID.Neoは、MEBプラットフォーム(ドイツ語のModularer Elektrobaukastenの略で、同社の次世代EV向けプラットフォームの名称)を搭載した同社初のモデルとなる。
フォルクスワーゲンによると、その製造工程および充電インフラは全てサステナブルなものになる予定。つまり、バッテリーや部品の製造に用いられる電力も再生可能エネルギーに由来するものになるということだ。
ID.Neoの生産が予定される、ドイツのツヴィッカウにあるフォルクスワーゲンの工場では、すでに再生可能エネルギーによる電力の供給を受けている。
フォルクスワーゲンは、他の多くの自動車メーカーと同様、以前よりサステナビリティ年次報告書を作成しているが、その中でも更に一歩進んで、一次サプライヤーだけでなく、4万を数えるすべてのサプライヤーが、持続可能な方法で部品の製造を行っていると報告している。
フィリピ氏がFinancial Timesに述べたところによれば、現在、電気自動車の直面する重点事項はコバルトの使用量と製造コストの削減だ。
「これは革命です。違反があれば、以降、取引先は取引先ではなくなります。」とフィリピ氏は述べている。
以下はフォルクスワーゲンのe-モビリティ担当取締役であるトーマス・ウルプリッヒ氏の言葉だ。「気候変動は現代における最大の課題です。世界最大の自動車メーカーとして、フォルクスワーゲンは責任を果たすべきだと考えています。新型ID.は当グループにおいて、気候中立(温室効果ガスの正味排出量ゼロ)で製造される初の電気自動車になるでしょう。」
エビアンは「真に循環型」に
エビアンはボトリング(充填)工程におけるカーボン・ニュートラルの実現に向けて努力を続けており、2017年には米国とカナダでこの目標を達成した。引き続き、全世界でのカーボン・ニュートラルを2020年までに達成すべく取り組んでいる。
エビアンはボトル製造でも、リサイクルプラスチック(rPET)の調達を増やす方向に動いている。現在、エビアンの飲料水ボトル全て100%リサイクル可能なプラスチックから製造されており、再生プラスチックも少なくとも25%は使用されている。
2018年1月、エビアンは2025年までに全てのプラスチックボトルを100%再生可能プラスチックで製造すると発表した。この決断によりエビアンは、プラスチックの使用において「循環型アプローチ」を採用した天然水ブランドとなるだろう。この目標に向けたロードマップの策定は、エレン・マッカーサー財団と協力して行っている。今後、エビアンは直線型モデルから循環型モデルへと移行し、ボトルは全て再生品ではないプラスチックを必要とせず、リサイクルプラスチックから製造されるようになるだろう。
「報道発表資料でエビアンは次のように述べている。「私たちは、地球の温度上昇を食い止める知識と技術を持つ史上初の世代ではありますが、もっと迅速に行動する必要があります。当社のように大胆な手段をとるブランドは、目に見える変化をもたらし、排出量曲線を下向きへ方向転換させることに貢献するでしょう。」
エビアンは、ほかの消費財メーカー数社とともにLoopと提携した。Loopは今年5月にニューヨークとパリで立ち上げられた廃棄物ゼロのプラットフォーム。Loop Industriesは、大規模で継続的なリサイクルを可能にする技術を開発した。それは、あらゆる種類のPETプラスチック廃棄物をエビアンが必要とする高品質プラスチックに転換するための技術となる。
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