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バイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラント

ユーグレナ(東京都港区)は1月31日、細藻類ミドリムシから航空機向けのバイオ燃料を製造する同社の実証プラントで導入している技術が、バイオジェット燃料製造技術の国際規格「ASTM」の新規格を取得したと発表した。これにより、同プラントで製造したバイオジェット燃料は、民間航空機に搭載可能な燃料であることが国際的に認められたこととなる。

同社は、この「バイオジェット・ディーゼル実証プラント」で製造する国産バイオジェット燃料での有償飛行を2020年までに実現することを目指しており、今回の取得により「実現にまた一歩近づいた」としている。

ASTM D7566規格に準拠する6つ目の規格に

ユーグレナは2018年10月31日に、神奈川県横浜市において、日本初のバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラントを竣工した。今回、このプラントに導入しているバイオ燃料アイソコンバージョンプロセス技術(BICプロセス)が、1月30日、国際標準策定機関であるASTM Internationalが定めるバイオジェット燃料の製造技術の国際規格「ASTM D7566規格」の新規格を取得した。

ASTM D7566規格に準拠するバイオジェット燃料の製造技術は、これまでに5規格が承認されている。ASTM D7566規格に準拠して製造されたバイオジェット燃料は、従来の石油由来ジェット燃料と同様の要件を満たすものと規定されており、既存の石油由来燃料への混合使用が可能であるとともに、燃料供給設備や航空機エンジンなどの改良やインフラの変更が不要となる。また、この規格に準拠して製造し、品質管理されたバイオジェット燃料のみが民間航空機に搭載可能になる。

なお、BICプロセスは、米国のChevron Lummus GlobalとApplied Research Associates(ARA社)が共同開発した独自技術。今回、ユーグレナにBICプロセスをライセンス付与するARA社が申請し、BICプロセスがASTM D7566規格に準拠する新規格を取得した。

国内でも新規格を取得したバイオ燃料への対応を整備

バイオジェット燃料(代替ジェット燃料)は、藻類、都市ごみ、非食用植物等を原料として開発が進められている。現在、日本国内では、国土交通省通達「航空機に搭載する代替ジェット燃料(ASTM D7566規格)の取扱いについて」では、ASTMD7566規格に準拠する5規格が対象となっている。しかし、国土交通省は、今後ASTM規格に追加される新規規格に適合する合成燃料にも柔軟に対応できるようにするため、2月上旬にもこの通達の一部改正を予定している。

この通達の一部改正が公布・施行されることで、ユーグレナのバイオ燃料製造実証プラントで製造されたバイオジェット燃料の国内での使用が可能となる。

日本をバイオ燃料先進国にする計画を推進

ユーグレナは、2005年に世界で初めて微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養技術の確立に成功。石垣島で生産した微細藻類ユーグレナ・クロレラなどを活用した機能性食品、化粧品等の開発・販売を行うほか、バイオ燃料の生産に向けた研究を行っている。

2018年10月31日には、神奈川県横浜市において、日本初のバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラントを竣工した。同社はこれを機に、横浜市、千代田化工建設、伊藤忠エネクス、いすゞ自動車、全日空、ひろしま自動車産学官連携推進会議をサポーターに、「日本をバイオ燃料先進国にする」ことを目指す『GREEN OIL JAPAN(グリーンオイルジャパン)』を宣言した。これは、国連サミットにて採択された「SDGs(持続可能な開発目標)」の「GOAL(目標)13:気候変動に具体的な対策を」に合致する宣言として取り組むこととしている。

この宣言では、2020年までに実証プラントで製造したバイオ燃料を陸・海・空における移動体に導入し、2030年までにバイオ燃料を製造・使用するサポーターを日本中に広げることでバイオ燃料事業を産業として確立することを目標に掲げる。そのため、同社は、2025年までに25万KL/年のバイオジェット・ディーゼル燃料を100円/Lで製造する商業生産体制を整え、2030年までにバイオ燃料100万KL/年を供給することを目指している。

 

この記事は、環境ビジネスオンライン 2020年2月03日掲載より、アマナデザインのパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせは、licensed_content@amana.jpにお願いいたします。