ガラス瓶はプラスチックボトルよりもサステナブルな容器といえるが、プラスチックの方が優れている点もある。例えば、プラスチックは壊れないし、ガラスよりも軽いので、輸送時の環境負荷は低い。企業は、そうした利点をすべて実現できる容器を探し続けてきた。その一例がアルミニウム製のボトルだ。しかし、デンマークのビール大手カールスバーグは、5年近く前から、パートナー企業とともにさらに進んだ容器の開発に取り組んでいる。世界初となる紙製ボトルだ。

最初の発表は2015年。同社の「グリーンファイバーボトル」は、一歩一歩実現に近づいている。2019年10月には、新たに二つの試作品を披露した。「持続可能な調達による木材繊維でできており、どちらも100%バイオ素材で、すべてリサイクル可能」だという。ただし今のところはまだ、内側にプラスチックのフィルムを施さなければビールがしみ出てしまう。試作品の一つにはリサイクルされたPETポリマーフィルムが、もう一つにはバイオ素材のPEFポリマーフィルムが使われている。それでも同社にとって「究極の目標は、ポリマーを使わない100%バイオ素材のボトル」だ。

「グリーンファイバーボトル・プロジェクトでのこれまでの進展を嬉しく思います」とカールスバーグ・グループのミリアム・シングルトン副社長(グループ開発担当)は、試作品発表の場で語った。「私たちはまだ完全に目標を達成したわけではありませんが、今回の二つの試作品は、紙製ボトルという革新的な技術を市場に出す、という究極の目標の実現に向けた重要な一歩です。イノベーションには時間がかかります。技術面で残る課題の解決に向け、私たちは引き続き一流の専門家と協力して研究を進めていきます。『スナップ・パック』でプラスチック使用量削減を達成したときと同じように」。覚えている方もいるかもしれないが、昨年同社が発表した「スナップ・パック」では、6缶パックをまとめていたプラスチック製のリングを廃止し、缶同士を接着する方式に切り換えた。

プラスチックフィルムを使わない方法を見つけるとひと口に言っても、実はかなりの大仕事かもしれない。そもそもガラス瓶こそ、プラスチック不要のサステナブルな容器だとも言える。カールスバーグの広報担当者はこう語った。「新たな二つの試作品は、返却できるガラス瓶以上に、優れているわけでもサステナブルなわけでもありません。でも私たちは、いずれ紙製ボトルの技術で変革を起こしたいと考えています。100%バイオ素材で完全に生分解できる容器を目指しているのです」

とはいえ、カールスバーグの今回の発表で「世界初となる紙製ボトル」を大々的に売り込むのはまだ先になることも分かった。このプロジェクトでは現在、共同事業Pabocoを立ち上げ、紙製ボトルの開発を進めている。飲料大手のコカ・コーラ、酒類大手アブソルート、化粧品大手ロレアルとの連携も発表された。「これは総力戦です」と、Pabocoの暫定CEOジッタン・シオールドは言う。「私たちはバリューチェーン全体で取り組み、リスクを共有しています。紙製ボトルを実現し、飲料業界を良い方向に根本的に変えるというビジョンに向かって一致団結しています」

紙製ボトルのビールで乾杯をする準備が整った、とはまだ言えないが、確実にその日は近づいている。そう遠くない未来に、サステナブルな紙製ボトルで祝杯をあげられるはずだ。聞こえるか聞こえないかのゴツンという名誉ある音とともに。

 

この記事は、Food & Wineのマイク・ポムランツが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。