ゼロ・ウェイスト(ごみゼロ)を目指すこと、つまり環境へのフットプリントを減らすことが、複雑である必要はない。実際、できるだけ単純なほうがいい。

もしゼロ・ウェイストが簡単なら、みんなその暮らしぶりを取り入れているはずだ。ごみを出さない方法を徹底している数少ない人たちは、簡単ではないのが現実だと言うかもしれない。しかし、実際のところはゼロ・ウェイストの暮らしをうまく続けるコツを理解している人がほとんどいないだけなのだ。ゼロ・ウェイスト・ホームの裏側にある考え方のヒントを、『ゼロ・ウェイスト・ホーム―ごみを出さないシンプルな暮らし』の著者ベア・ジョンソンが教えてくれた。ジョンソンは、ゼロ・ウェイストの暮らしを成功に導くカギは、文字どおり「シンプル」だと言う。

「私たちが今日までずっとゼロ・ウェイストを続けてこられたのは、シンプルな方法でやってきたからです」とジョンソンは話す。彼女の家ではゼロ・ウェイストの暮らしを2006年から模索しており、2010年からはその過程で手に入れた知識を世界中の人たちに共有している。

ゼロ・ウェイスト、あるいはそれに近い暮らしをするための選択肢としてジョンソンが勧めているのは、管理がしやすく、長い目で見て無理なくずっと続けられるような方法だ。リサイクルの仕組みを整えると、リサイクルがうまく進むのと似ている。ゼロ・ウェイストを実践するブロガーたちの間では、石けんや歯磨き粉、シャンプーなど何でも自宅で手作りするのが流行っている。ジョンソン自身も最初のころは挑戦していたが、いまは手作りを勧めていない。

「そういう人たちは、何でもかんでも手作りすることがゼロ・ウェイストだと思っているのです」とジョンソンは言う。「そうした考えには断固反対しています。まったく必要のない、行き過ぎた手作りのレシピをあれもこれもと見せられたら、フルタイムで働く母親はおじけづいてしまうでしょう。(そんなことをしている暇はない。だからゼロ・ウェイストは無理)と思うはずです」

ジョンソンの経験では、ゼロ・ウェイストを実践する本当のコツは、必需品と言われるものをどんどん減らし、あまり加工されていないパッケージフリーの既製品をシンプルに使うことだ。これなら仕事をもつ女性や男性でも、そうした商品を売っている店へ行くだけで済む。

ジョンソンはこう語る。ゼロ・ウェイストを目指して家中の使い捨て商品をなくそうとするときには、身軽でシンプルな暮らしを守ること。そして、ゼロ・ウェイストのための代用品を選ぶなら、使い道が1つのものではなく、複数のものに取って代わる汎用性の高い商品を探すこと。ゼロ・ウェイストの実践に必要な材料は、どの家庭にもすでにあるはずだとジョンソンは言う。

彼女の家では、重曹をさまざまな用途のほか歯磨きにも使い、パッケージフリーの石けん1つでいろいろな場所を掃除する。ジョンソン一家は使い捨て商品やプラスチックなどを減らしていく中で、生活のあらゆる場面をシンプルにできることに気づいた。そして環境への影響を減らしただけでなく、時間と労力、お金の節約にも成功したのだ。

あらゆるものをリサイクルする方法を学び、リサイクルについてのよくある疑問に対する答えを見つけることは、地球を救う1つの方法ではある。しかし、本当に環境に負担をかけないようにするなら、やはりゼロ・ウェイストの暮らしに挑戦するのが一番だ。そしてそれは、思っているよりずっと簡単なのだ。

「シンプルに暮らすことで以前より時間を取られるとか、生活が複雑になるということはありません」とジョンソンは言う。「ゼロ・ウェイストは暮らしをシンプルにします。本当に大切なもののために、生活の中に余白を作り出すのです。そして実際にゼロ・ウェイストのおかげで、私たちは経験など他のことをじっくり味わう暮らしを見つけました。モノよりコトを大切にする暮らし。私たちにとって、これほど人生を豊かにしてくれるものはありません」

 

この記事は、Real Simpleのローレン・フィリップスが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。