一般市民の環境意識が高まった現代では、荷物を受け取った際に大量に出る発泡スチロールほど迷惑なものはないだろう。プラスチックごみが増えるのはもちろんのこと、発泡スチロールはかさばるのが面倒だ。さらに、砕くとあの厄介な白いくずのせいでそこら中が散らかってしまう。もし、私たちを悩ます発泡スチロール問題を水に流してしまえたら、どれほど素晴らしいだろうか。米素材メーカーKTM Industriesによると、それは可能だという。同社が作る自然に分解される(生分解性の)発泡スチロールは水に溶け、排水口に文字通り「流せる」ということで徐々に広まっている。

2020年1月、米鶏肉生産会社のパーデュー・ファームズは新たなeコマースウェブサイトを開設した。一般の人々が鶏肉などの肉製品を同社から直接買えるというものだ。しかし、その発表時にもう1つ話題となったのが、注文された冷凍食品をどうやって消費者に届けるかという点だった。「オンライン注文に使う容器包装材は、すべて100%リサイクル可能」と同社は述べた。「断熱材として用いる発泡スチロールは、水に溶けるコーンスターチで作られており、堆肥化が可能。さらに、水道水で分解して台所のシンクから流しても安全です」

最後の部分を読んで目を疑ったなら、この機会に是非「Green Cell Foam」について知って欲しい。コーン由来のGreen Cell Foamは、発泡スチロールに代わる梱包材として、「廃棄時の柔軟性と利便性の面でどんな梱包材よりも優れており、単なるリサイクルのはるか先を行く」といううたい文句で提供されている。

「米農務省(USDA)認証バイオ製品」であり、かつ「100%堆肥化できる」この発泡スチロールを生産するのが、KTM Industriesだ。同社によると、Green Cell Foamは堆肥化が可能な上、大きな塊でもバケツ1杯の水さえあれば溶かせる。さらに、「小さな破片をシンクに置いた後、安全に『溶けて』排水口に流れていく」まで60秒もかからないという(証拠映像はこちら)。また同社は、「Green Cell Foamは、排水口のほか、浄水場や廃棄物処理場で処理されても安全」と説明している(KTMのウェブサイトでは究極の廃棄方法として、「暖炉や焚き火台、発電所で燃やしても、クリーンで安全。バーベキューをするのにもおすすめです!」と提案されている。バーベキューをしたい人がいれば是非)。

意外なことに、Green Cell Foamの登場は2002年に遡る。それほど優れたものなら、なぜ今に至るまで耳にしたことがなかったのだろうか。その答えのヒントは、パーデュー・ファームズのeコマース・新規事業担当シニアバイスプレジテントであるデイビッド・ザッカーがCNNに語った話に隠れているようだ。「サステナビリティの取り組みについて、それから、環境への影響を抑えるためにもっと当社にできることについて、社内ではこの1年間かなり議論を重ねてきました」とザッカーは話した。

Green Cell Foamの勢いに乗った大企業は、パーデューだけではない。この1年で、ネスレ傘下のダイエット食品メーカーであるジェニー・クレイグ、牛の共同購入サービスを提供するクラウド・カウ、カナダのニク・ファームズもGreen Cell Foamを採用した。さらに聞くところによると、Green Cell Foamの生産では、「石油由来の発泡スチロールより、必要なエネルギーを70%削減できると同時に、温室効果ガスの排出量も80%少ない」ということだ。つまり、この生分解性発泡スチロールの認知度が今になって上がってきた理由は、サステナブルな選択肢を探す企業が増えてきたから、そして、新たな選択肢を手にした企業はそのサステナビリティを自慢したくなるものだから、といったところだろう。

スイスに本社を置くノバルティスのジェネリック医薬品事業部門であるサンドは、2008年にGreen Cell Foamを使い始めた。その数年後に行われたPackaging Worldのインタビューで、当時同社のパッケージング開発・サステナビリティ担当マネージャーを務めていたマーク・クールは、この点について熱く語った。

「コストも大事ですが、サステナビリティも大事です」とクールは説明した。「多少コストがかかっても、『グリーン』なソリューションを採用する価値はあります。長い目で見れば、基本的にはコスト削減になりますし、環境にもよいのですから」

 

この記事は、Food & Wineのマイク・ポムランツが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。