リサイクルは、ビジネスから日常生活まで幅広いシーンで実践することのできるSDGsの目標12に関連する取り組みのひとつだ。今回は、リサイクルの概要や種類、取組事例を確認し、私たちにどのようなことができるのか改めて考えてみよう。

SDGsの達成に貢献できる4Rの一端を担う「リサイクル」

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リサイクルは、SDGsの達成に貢献できる4Rの一端を担う資源を有効活用する取り組みだ。 4Rとは、従来の3Rに「断る(Refuse)」を加えたもので、多くの自治体において推進されている。

4Rとは

リフューズ(Refuse) お箸やレジ袋など、不要なものは断る
リデュース(Reduce) 廃棄しなくて済む量を買うなどして、ごみ量を減らす
リユース(Reuse) 修理やフリマなどにより、まだ使えるものはそのまま再利用する
リサイクル(Recycle) そのまま再利用できないものは、資源として再利用する

それぞれの概要を、取り組み例をもとに確認しておこう。

1.リフューズ(Refuse)

リフューズとは、ごみになりそうなものを「断る」ことで、ごみの発生量自体を抑える取り組みだ。

例えば、次のような行動がリフューズに該当する。

・マイカトラリーを持ち歩き、お弁当購入時の箸やスプーンを断る

・不要な調味料などを受け取らない

・飲み物を購入する際はマイタンブラーを持参し、使い捨てコップは使わない

・マイバッグを携帯し、レジ袋を使わない

・包装が簡易な商品を選び、過剰な包装は断る

このように、ついつい受け取ってしまう不要なものを思い切って断るだけで、SDGsの達成に貢献できるのだ。

2.リデュース(Reduce)

リデュースとは、発生するごみ量を減らすことにつながる消費活動を指す。リフューズのように受け取りを断るわけではないが、できる限りごみを出さないようにする取り組みがリデュースである。

具体的には次のとおりだ。

・シャンプーや化粧水などは、詰め替え用を購入する

・食料品は食べきれる量を購入し、まとめ買いしない

・繰り返し使える製品や修理できる商品を選ぶ

SDGsの達成に貢献し地球環境の保護に取り組むためには、必要なものについても、できるだけごみを増やさないものを選ぶことが重要であることを覚えておこう。

3.リユース(Reuse)

リユースとは、使わなくなったものを捨てたり買い替えたりするのではなく、修理したり誰かに譲ったりして繰り返し使う取り組みだ。使えるものを長く使い続けることで、ごみの排出量を抑えることができる。

取り組みの具体例は以下のとおりである。

・電化製品やおもちゃ、洋服など、修理や再利用して長く使う 

・リターナブル容器(※)入りの商品を選ぶ

・フリマやリサイクルショップを積極的に利用する

新品を安く購入できることの多い現代では、すぐに買い替えを検討しがちだが、「リユースできるか」をあわせて検討することがSDGsの達成には欠かせない。

※ビールびんなど、回収・洗浄後に再び中身を補充して使用する容器のこと

4.リサイクル(Recycle)

リサイクルとは、製品をそのまま繰り返し使うのではなく、資源に加工したりエネルギーにしたりして再利用する取り組みを指す。

ペットボトルから衣服を作る繊維にする、読み終わった新聞や雑誌などからトイレットペーパーにする、といった再利用ができる。

身近なリサイクルの取り組み例は次のとおりだ。

・リサイクル製品やエコ製品を選ぶ

・リサイクルしやすい材料を使った製品を選ぶ

・コンポストなどで肥料として土にかえす

・ルールにしたがってごみを分別してごみ出しする

そのまま再利用することができなくなったものは、捨てる前にリサイクルできないか考えてみよう。

【SDGs関連】リサイクルの主な3つの種類

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リサイクルには、次の3つの種類がある。

・原料として再利用する「マテリアルリサイクル」

・ほかの物質に転換して再利用する「ケミカルリサイクル」

・エネルギーを回収する「サーマルリサイクル」

ここでは廃プラスチックを例に挙げ、リサイクルの3つの種類について解説する。

廃棄物そのものを原料として再利用する「マテリアルリサイクル」

廃棄物そのものを原料として再利用するのが「マテリアルリサイクル」だ。マテリアルとは原料や材料といった素材を意味する。

たとえば、廃プラスチックをそのまま原料として再利用するケースでは、ペットボトルを中心に、包装資材・文房具などに生まれ変わる。

ペットボトルからペットボトルにリサイクルするといった同じ製品に再利用する場合もあれば、ペットボトルから繊維を作るといった別の製品へ再利用するケースもある。

ケミカルリサイクルやサーマルリサイクルとの大きな違いは、廃棄物の原料をそのまま再利用する点だ。

廃棄物をほかの物質に転換して再利用する「ケミカルリサイクル」

「ケミカルリサイクル」とは、廃棄物をガスや油などのほかの物質に転換してから再利用するリサイクル手法だ。

廃プラスチックの代表的なケミカルリサイクルには、次のようなものがある。

・廃プラスチックをガス化して化学工業の原料として利用

・ペットボトルを合成の途中段階まで戻し、PET樹脂として利用

ケミカルリサイクルをすることで、マテリアルリサイクルする場合よりも再利用できる範囲が広がるのが利点といえるだろう。

廃棄物を燃焼させてエネルギーを回収する「サーマルリサイクル」

廃棄物を燃焼させて、発生したエネルギーを回収して利用するのが「サーマルリサイクル」だ。

エネルギーを回収する手法には、以下のものがある。

・ごみ焼却熱利用

・ごみ焼却発電

・セメント原・燃料化

・固形燃料化(RPF、RDF)

なかでも、ごみ焼却発電は、近年重要なエネルギー源として注目されている。廃プラスチックを例に挙げると、ごみ焼却発電でごみを電力に変える仕組みは次のとおりだ。

1.廃プラスチックをごみとして燃やす

2.燃焼時に発生した熱で蒸気を発生させる

3.蒸気の力でタービンを回し発電する

【日本企業】SDGsの達成に向けたリサイクルへの取組事例

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多くの日本企業が、それぞれの強みを生かしたリサイクルに取り組んでいる。ここでは、次の3つの代表的な取組事例を見てみよう。

・株式会社ユニクロ

・株式会社ダスキン

・協和キリン株式会社

株式会社ユニクロ

大手アパレルメーカーの株式会社ユニクロでは、全商品をリサイクル・リユースする取り組み「RE.UNIQLO」を進めている。

「RE.UNIQLO」は、服から服へのリサイクルはもちろんのこと、燃料・素材へのリサイクル、支援衣料としてリユースなど、幅広いアプローチでSDGs達成へ貢献する取り組みだ。

リサイクル・リユースする服は、ユニクロの各店舗に設置しているボックスで回収するなど、私たちが気軽に参加しやすいのも魅力といえるだろう。

株式会社ダスキン

清掃用品のレンタルからフード部門まで幅広く展開する株式会社ダスキンでは、くりかえし使う・みんなで使う・減らす・捨てない、といった3Rの視点を取り入れた事業展開を行っている。

具体的には次のとおり、製品のライフサイクル全体で3Rを徹底、廃棄物発生量の低減に取り組んでいる。

・モップ・マットのレンタル回収率100%

・バイオマス成分を25%配合したレジ袋を使用

年間約1億3,800万枚にもおよぶレンタル商品を回収・洗浄し、そのうちの約97%を再び商品化している。再商品化が困難なモップやマットも単に廃棄するのではなく、セメント工場の燃料の一部として活用している。

協和キリン株式会社

医療用医薬品の研究・開発や製造・販売などを手がける協和キリン株式会社では、産業廃棄物の削減に取り組み、最終埋立処分量を廃棄物発生量の0.1%以下に抑えている。

例として次のような取り組みを行っている。

・研究活動で使用した中古機器などの再利用や転用 

・マテリアルリサイクルなど、廃棄物の資源リサイクルを推進

廃棄物の資源リサイクルひとつをとっても、より環境負荷を低くして資源リサイクル処理が可能な廃棄物処理業者を選ぶなど、その過程にまでこだわって取り組んでいる。

まとめ

リサイクルは、SDGsの目標達成に向けて、今日からでも実践することのできる手軽な取り組みだ。また、リサイクルの方法にはさまざまな種類があり、関わり方にもいろいろな選択肢がある。自分に合った取り組み方で、SDGsに貢献しよう。