フェイスブック上での気候変動をめぐる誤情報の拡散に歯止めをかけるため、同社は対策の強化を図っている。その一環として、エール大学の気候変動コミュニケーションプログラムと共同で新たに調査を実施した。調査では、人々が気候変動※をどう捉えているか、またその影響についてどのくらい懸念し、どの程度の知識を有しているかについて、国・地域別により詳しく把握しようとした。
※地球は“非常事態”にある、と事務総長が各国指導者に警告 米主催の気候リーダーズ・サミットで(UN News 記事・日本語訳)
同調査では、7万5千人を超えるフェイスブックユーザーからの回答に基づき、気候危機のさまざまな要素に対する考え方に男女間でどのような違いがあるかに特に注目した。すると、進行する温暖化の原因と影響、またその結果想定される出来事について、どう考えているかを表す興味深い見解が示された。
フェイスブックは次のように説明する。
「調査対象の国と地域のうちおよそ半分では、大半の人が気候変動について少なくともある程度は知っていると答えた。その割合が最も高かったのはオーストラリアとドイツだった。一方、気候変動について全くあるいはほとんど知らないと答えた人がかなりの数に上った国もあった。例えばナイジェリアでは、『気候変動について聞いたことがない』と答えた人が4分の1以上を占め、マレーシア、エジプト、サウジアラビア、ベトナムでも同様に、相当な割合を占めた」
気候変動について少なくともある程度は知っていると答えた人の割合を表すこちらの調査結果は、 気候変動について比較的高い意識と深い理解を持つ人がどのくらいいるのか、また各国がどのように対処しようとしているかについて、興味深い傾向を示している。このグラフで数字の低い国や地域が気候変動を無視しているとは言い切れないが、情報が届いていないということは確かである。結果的に、そうした地域に暮らす人ほど近い将来より大きな影響を受けることになる。
前述したように、今回の調査では、気候危機の捉え方における男女間の違いにも注目している。
「気候変動について知っていると答えた割合は途上国の方が低い一方、男女間で大きく差が開いたのは英国やカナダ、米国など一部の先進国だった。こうした国々では、気候変動について少なくともある程度は知っていると答えた数は男性の方がはるかに多く、先進国でも途上国でも社会全体の認識を高める必要があることが浮き彫りになった」
調査は自己申告によるため、男性の方が気候変動についてより詳しく知っていると答えたからと言って、かならずしも事実であるとは限らない。とはいえ次のグラフからは、平均して男性よりも女性の方がこの問題について心配していることが読み取れ、前出のグラフと対照的な点が目を引く。
気候変動に対して少なくともある程度の懸念を抱いていると答えた人の割合を表すこちらのグラフは、フェイスブックユーザーの間で重要な社会課題がどう捉えられ、その反応にどのような男女差があるかを知るための、興味深い手がかりとなる。調査結果は、人々が少なくともある程度の気候関連の情報をフェイスブック上で入手していることを示唆しており、同プラットフォームが気候の議論に及ぼしている影響の度合いを測る一つの指標と見ることもできる。
いずれにせよ、フェイスブックの調査結果から気候危機は男性よりも女性に大きな影響を及ぼすと予想され、女性の方が大きな懸念を抱いているのは当然と言える。だが同時に、より大局的に気候危機を理解し、その複合的な影響についても知識を身につける機会を増やす必要がある。
気候変動の主な原因は人間活動であると答えた人の割合を表すこのグラフから分かるように、気候変動の議論や政府による対策が続いている状況にあってもなお、実際の原因が人間活動にあることを懐疑的に見ている人の割合は、性別を問わず依然としてかなり高い。教育の問題なのか、誤った情報が蔓延し続けた結果なのか、揺るぎない事実を受け入れたくないだけなのかは分からない。しかし、このデータからはっきりしていることは、直接的な行動がいま求められていて、そうした行動が今後の暮らしの質を保証する力になることを多くの人々に理解してもらえる余地があるということだ。
間違いなくこの時代の重要な問題である気候変動について、今回の調査は、重大なポイントを示している。調査結果を踏まえて、そのような視点に異議を唱える人も多いだろう。だが調査データは、重要な知識のギャップを埋めるために、もっと手を尽くさなければならないことを示している。また、気候変動科学の知見が等しく共有され、届けるべき相手に情報が届くようにすることで、人々の認識を高めてさらなる行動につなげる必要があるということも伝えている。
フェイスブックの気候変動に関する調査報告の全文はこちら。
この記事は、Social Media Todayよりアンドリュー・ハッチンソンが執筆し、Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはすべてlegal@industrydive.comまでお願いいたします。