ポテトミルクは、生産に使う水の量がアーモンドミルクやオーツミルクよりもはるかに少ないといわれる商品だ。いくつかの国では、すでに手にすることができる。

普通のジャガイモを、驚くほど濃厚でクリーミーな、ミルクのような飲みものにする方法がある。2017年の終わりごろ、スウェーデンのルンド大学教授で食品の研究をしているエヴァ・トーンバーグは、その方法を見つけたと発表した。ジャガイモを菜種油と混ぜたものを、きわめて特殊な方法で加熱するのだという。しかしその方法について、彼女は詳しくは語らなかった。その理由は、以下を読めば明らかだ。

トーンバーグは、実験室と工場で、オメガ3脂肪酸を豊富に含むジャガイモの「乳濁液」の試験を行った。彼女は、このとびきりサステナブルで、ヴィーガン(完全菜食主義者)の人も飲める牛乳の代替飲料が、1年以内にお店の棚に並ぶことを夢見ていた。「オメガ3脂肪酸は、主に脂肪の多い魚に含まれる必須脂肪酸で、(ヴィーガンの人は)摂取に苦労する傾向があります」。トーンバーグは、大学の報道発表資料の中でそう語っている。「ポテトミルクは、ヴィーガンの人にとっても、それ以外の人にとっても、アマニ油や菜種油、健康サプリの代わりになるでしょう」

とれたてのジャガイモ by Getty Images

1年より少し長く時間はかかったが、トーンバーグのポテトミルクは、ついに市場に登場した。とはいえ、少なくとも今は、まだスウェーデンと中国の一部地域と、英国のアマゾンを通してしか手に入らない。(「DUG」というブランドで販売されているので、もうだれも「ジャガイモの乳濁液」などと呼ぶことはない。)下のインスタグラムもぜひ見てほしい。

DUGには、オリジナル、甘味料不使用、バリスタの3種類の製品がある。メーカーのウェブサイトによれば、「バリスタ」は「思うままの泡立ちを実現」する、「プロのバリスタに(プロじゃない人にも)うってつけのミルク」だという。それに、DUGは乳製品を含まないだけでなく、グルテンフリーで、ナッツ類も大豆も含まれていないうえ、砂糖も添加されていない。

だが、DUGが最も誇りとしているのは、ジャガイモを原料とすることによるサステナビリティのようだ。そして臆面もなく、ほかのいくつかの競合品との比較もしている。DUGによると、土地利用という面から見ると、ジャガイモの栽培はオーツ麦の栽培よりも「2倍も効率的」だという(これは、同じスウェーデンの会社オートリーなどが生産するオーツミルクとの、ちょっとずるい比較だ)。ジャガイモの栽培に必要な水の量は、同じ面積でアーモンドを育てる場合の56分の1。それに、畑にジャガイモを植えることによる「気候への影響」は、同じ土地で乳牛を育てるよりもはるかに小さい。

「私たちは、この商品を誇りに思っています」。DUGの親会社Veg of LundのCEOであるトーマス・オランダーは、VegNewsの記事でそう語っている。「ジャガイモを主成分にするという選択をしたことで、私たちはずば抜けてサステナブルな飲料を手にしました。ジャガイモが育つには多くを必要としません。大豆やアーモンド、オーツ麦などに比べ、はるかにサステナブルな作物なのです。乳製品については言うまでもありません」

DUGのフェイスブックページでは、DUGの「バリスタ」を使い始めた、英国オックスフォードのコーヒーショップを数軒紹介している。最近、この商品を待ちきれない人から、「いつになれば、世界中で飲めるようになりますか?」というコメントがあった。これに対して、DUGはこう答えている。「スウェーデンと英国で販売を始めたばかりで、つい最近、中国でも売り始めました。今後数ヵ月かけて、欧州全体、さらに世界中に販売を拡大していきたいと考えています」

この記事は、Food & Wineよりジェリッサ・キャストロデールが執筆し、Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはすべてlegal@industrydive.comまでお願いいたします。