自然界にあるマイクロプラスチックはどこから来るのか。

その元を探ると、かなりの量が化粧品から生じている。特に、スクラブ剤としてプラスチックの粒が意図的に入れた化粧品が、大きな原因になっている。こうした商品をなくす時がきた。

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イスラム教では豚肉やアルコールの摂取が禁止されているため、香水やラード系の口紅など、厳格なイスラム教徒が使用できない美容製品が多い。
ジェイミー・レイナ(AFP/File)

マイクロプラスチックは、多くの化粧品に意図的に使われている(洗い流すリンスオフタイプと、肌につけたままにして使うリーブオンタイプの両方がある)。プラスチックの粒が加えられるのは、スクラブ効果がちょうど良くなって「気持ちいい」と、メーカー(と消費者)が考えるからだ。プラスチック製品の粒は大きさがそろっていて、天然のものよりも研磨による刺激が少ないため、使い心地がよく感じられるのだ。

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口紅の形をしたピストル(2019年1月撮影)。期間限定で開館していたニューヨークのKGBスパイ博物館に展示されていたもので、ほかの展示品とともに2021年のはじめにオークションで販売される予定
ティモシー・A・クラリー(AFP)

しかし、同じように肌のクレンジングに使えるものはほかにもある。環境に悪影響を及ぼさない代替品は、粉末状にしたアーモンドやココナッツの殻、オリーブの種などだ。これらの天然の代替品がプラスチック入りの製品ほど「なめらか」かと言えば、そうではないかもしれない。しかし、世界中のプラスチックごみを減らすためだと思えば、消費者にとっては小さな代償だろう。

マイクロプラスチックの影響を見定めるため、Digital Journalでは三回シリーズで、その問題の深刻さと、提案される解決策にせまる。

第三回となる今回は、化粧品に特有の問題に焦点を当てる。第一回、第二回では以下の内容を取り上げた。

「マイクロプラスチック(1)何が問題なのか」
「マイクロプラスチック(2)戦略を立てる」

化粧品に含まれるマイクロプラスチックの問題は深刻だ。1年間に540~1120トンのマイクロプラスチックが化粧品に使われているという調査結果もある(しかもこれは「リーブオン製品」に限った数字だ)。

これまで使われてきたポリマーの使用を減らすために、天然の原料から生物分解性のポリマーを作る方向にかじを切った化粧品メーカーもある。天然の材料をスクラブ剤に使うメーカーもある。

しかし、一部の大企業はほとんど何の対策もしていないように見える。そのため、国の規制や国際的な規制を求める声が上がった。欧州連合(EU)で合意された戦略は、その一例である。

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化粧品からプラスチックの粒をなくすという方針は示されているものの、環境活動家からは、目標達成までの期限が長すぎると心配する声も上がっている。EUを例にとると、何が本当に社会のためになるのかという視点から、さまざまな損失と利益をてんびんにかけてスケジュールを決める必要があるのだと、欧州化学品庁は指摘している。

別の言い方をすれば、期限が長いということは、製造プロセスや原料の調達、サプライチェーンを見直すのに十分な時間を、化粧品メーカーに与えるということだ。高級化粧品は成分の一部を変更しなければならず、そのためには、プラスチックに代わる材料を見つけることが前提となる。それを理解したうえでの期限なのである。

 

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