英国の研究者が、過去最高記録となる量のマイクロプラスチックが海底に存在することを明らかにした。最新の調査では、海底をおおう薄い層の中に、1平方メートルあたり190万個ものマイクロプラスチックが見つかった。

マイクロプラスチック

マイクロプラスチックは、環境中に捨てられた大きなプラスチックが分解されてできる。プラスチックは時間の経過とともに、風による浸食や日光からの紫外線などを受けて風化する。

Krill are capable of digesting microplastics before excreting them back into the environment in an e...

人の健康との関連で、マイクロプラスチックがなぜ問題になるのか。心配されているのは、プラスチックの製造過程で使われるさまざまな有毒物質や発がん性物質と、プラスチック片と一緒に運ばれるものに関する問題だ。マイクロプラスチックが病原体の運び屋になることもある。

Marine debris litters a beach on Laysan Island in the Hawaiian Islands National Wildlife Refuge whe...

マイクロプラスチックと海洋環境

現在、海や五大湖で最もよく見かける海洋ごみが、プラスチックである。研究者が心配しているのは、その汚染のひどさと海洋生物に及ぼす影響、食物連鎖に入り込んで人の健康を脅かす危険性だ。マイクロプラスチックが水中や水辺で暮らす生物に及ぼす害を明らかにした研究もあり、ウミガメや鳥に対する影響も報告されている。特に、プラスチック片は生き物の消化管をふさぎ、採餌行動に影響してしまうことがあり、お腹いっぱいにプラスチックを詰まらせた海鳥の中には、飢え死にするものもいる。

Bunaken National Marine Park Manado Indonesia.

最新の研究

英マンチェスター大学の主導により、ティレニア海(地中海の一部、イタリアの西海岸沖)で深海流の現象に注目した研究が行われた。深海流は水中でベルトコンベアーのような動きをし、海底のいたる所に細かなプラスチック粒子や繊維を運んでいる。

The Mediterranean Sea from Hyères. The sea is connected to the Atlantic Ocean surrounded by the Med...

強い乱流の働きによって、マイクロプラスチックは大量の堆積物が溜まる場所(マイクロプラスチック・ホットスポット)に集められる。その仕組みは、濁った水の流れを調節できる特殊なタンクを使った水路実験で明らかになった。これらの研究は、混濁流がマイクロプラスチックをどのように運んでいるのか、また混濁流のどのような働きが、破片と繊維のそれぞれ異なる沈み方をするのかを明らかにするものだ。また、前述のティレニア海の研究では、回収したプラスチックを赤外分光法で分析した結果、そのほとんどが下水を通して運ばれた布や衣類のプラスチック繊維だということが分かった。主任研究員のイアン・ケーン博士は、次のように語る。「皆さん、海に漂うプラスチックの悪名高い『ごみベルト』の話は聞いたことがあるでしょう。それにしても、大量のマイクロプラスチックが深海底に溜まっていたのはショックでした」

Plastic pollution ends up in tap water whose health risks are unknown say scientists

マイクロプラスチック粒子の数を顕微鏡で直接数えたところ、1平方メートルあたり大体200万個近くになった。

研究論文

今回紹介したマイクロプラスチックに関する最新の研究は、サイエンス誌に掲載されたものである。論文タイトルは、「Seafloor Microplastic Hotspots Controlled by Deep-Sea Circulation(邦題仮訳:海底のマイクロプラスチック・ホットスポットを制御する深海循環)」。

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