北欧の国フィンランドでは、両親がそれぞれ164日間(フィンランドの規定で換算。土日を含めた育休期間の合計は約7カ月)の有給の育児休暇を取得できるようになる。

働く親にやさしい国を目指して各国が競い合う中、フィンランドはトップレベルに躍進する。同国の政府が、両親で合わせて14カ月の有給の育児休暇を取得できるようにすると発表したのだ。この制度は2021年から始まる。

現行制度では、子どもが2歳になるまでの間に母親が4.2カ月、父親が2.2カ月の出産育児休暇を取得できる。新制度では、両親がそれぞれ164日ずつ、合計で最長約14カ月間、有給の育児休暇を取得できるようになる。これに加えて、妊婦は1カ月の有給の出産休暇を取得することができる。

父親と母親は、自分の割り当てから69日までを相手に譲ることが認められる。シングルペアレントの場合には、親一人に割り当てられる164日を二人分(つまり328日)利用できる。

この変更によって、フィンランドが、有給の育児休暇を手厚く提供する国として上位になるのは確実だ。それでも子どもの誕生後に両親がそれぞれ240日の育児休暇を取得できる隣国のスウェーデンにはかなわない。

フィンランド政府の発表で、アイノ=カイサ・ペコネン社会問題・保健大臣は、この改革の目的を、ジェンダー平等を推進し、低下している出生率を上げることだとしている。これは「家庭の未来、家庭の幸福への投資」なのだと言う。

育児休暇をとる男性は、長期的にも子育てや家事に積極的に取り組む傾向が強いことが、研究によって裏付けられている。専門家も、父親の育児休暇は男女間の賃金格差をなくす重要な手段の一つだと考えている。母親の方が、仕事を休んでキャリアアップが遅れるケースが多いからだ。

しかし、父親の育児休暇制度が手厚いフィンランドのような国でさえ、男性が育児休暇を取るとは限らない。米CNBCの報道によれば、ペコネン社会問題・保健相は「制度の変更だけで、小さな子どものいる家庭の日々の問題を解決することはできない」と認めており、「職場が家庭にやさしい雰囲気」になることも必要だと付け加えている。

フィンランドでは、そのような変化が起きるチャンスが十分にある。ロイターの報道によれば、フィンランドの連立政権を構成する5政党の党首は全員が女性で、うち4人が35歳未満だ。サンナ・マリン首相は34歳で、現役の国家元首としては世界最年少であり、2歳の娘の母親でもある。マリン首相は、2020年1月におこなわれた世界経済フォーラムのパネルディスカッションで、育児休暇を夫と平等に分け、それぞれ仕事を6カ月休んで娘の世話をしていると語った。

フィンランドの例から、先進国で唯一、母親の有給育児休暇がない米国で有給育児休暇制度を実現するために、何が必要なのか見えてきた。リーダーを全員女性にすることだ。2018年の中間選挙は、かつてないほどの人数の女性を首都ワシントンに送り込み、連邦議会の母親議員の数を倍増させた。これがよい兆しであると信じよう。

この記事は、Working Motherのオードリー・グッドソン・キンゴーが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。