(Bloomberg) — アフリカ最大の人口を抱える国、ナイジェリア。ここでトラックに特化したUberのようなアプリが登場し、貨物輸送の利便性向上とコスト削減に一役買っている。
ナイジェリアの物流スタートアップKobo360は、送り主、運送業者、トラック運転手、荷物の受け取り主をつなぐプラットフォームを提供している。同社の本社があるラゴスでオビ・オゾーCEOがインタビューで語った内容によると、企業の物流責任者は今やオフィスにいながら輸送スケジュールを組み、輸送状況を追跡できるようになったという。
ナイジェリアでは、輸入される全貨物のうち70%がラゴスのアパパ地区にある港で降ろされる。この辺りは港に出入りする空っぽのトラックが長蛇の列をなし、交通渋滞がひどいことで知られている。同国の鉄道インフラは老朽化が進んでおり、90%以上の貨物がトラックで輸送されるのだ。
「輸送を必要とする企業は、以前ならアパパに出向いて、道路脇のトラックを探さなければなりませんでした」とオゾーは言う。「それが今は、現地に行かなくても注文さえすれば、24~48時間以内にトラックを見つけられます」
ラゴス商工会議所によると、ナイジェリア国内の港での渋滞や違法な課徴金の徴収、治安問題による推定損失額は年間190億ドルに上る。
世界銀行の貿易手続き調査では、輸出入にかかる時間や費用をもとにランク付けが行われている。ナイジェリアは189カ国中182位で、南スーダンやイラクにも劣る。
2017年に創業されたKobo360は、TLcom CapitalやY Combinator、国際金融公社(IFC)などの出資を受けている。2019年8月にゴールドマンサックスが主導した投資ラウンド(投資家が投資先企業のファイナンスステージを把握しやすいように使われるようになった考え方)では2000万ドルを調達、さらにナイジェリア国内の銀行からは現地通貨で計1000万ドル相当の運転資本を調達した。
同社は現在、ラゴス本社のあるナイジェリアの他、ケニア、トーゴ、ガーナに事業を展開している。これらの国に加えて、集まった資金を使いさらに10カ国に事業を拡大する予定だ。また、数カ月かけて2万5000人の運転手を同社のプラットフォームに追加し、2019年9月時点の3倍に増やす。
2017年の創業以来、Kobo360の手配で輸送された貨物の総額は21億ドル相当に上る。またオゾーの話によると、同社は国内のどの運送業者にも勝る1万800人ものトラック運転手のネットワークを持つ。輸送1回あたりの料金は、平均38万5000ナイラ(1063ドル)。同社のプラットフォームを利用する運送業者は、大体1~5台のトラックを所有する。
「ナイジェリアの配送サービスは非常に効率が悪く、早く輸送されるなら喜んでお金を出すというお客様が多いです。これこそ、当社が提供しているサービスです」とオゾーは語る。Kobo360のアプリで手配された輸送1回につき、同社は15%分の手数料を受け取る。
同社のプラットフォームを利用するトラック運転手は、利用しない運転手と比べて、1カ月あたりに引き受ける仕事が平均40%多い。同社の輸送料金は他社より27%も安く、92%が時間どおりに輸送されるとオゾーは言う。
「当社のアプリでは、トラックに付けた追跡デバイスを使えるので送り主への透明性も確保しています。また、各運転手には、それまでの運転手からのフィードバックをもとに最適なルートを案内できるようになっています」
同社は、テクノロジーを駆使してナイジェリア国内で稼働するすべてのトラックの追跡を実現する計画も立てている。これが実現すれば、すべての送り主がKobo360のプラットフォームを使ってリアルタイムで貨物を追跡できるようになる。
また同社のプラットフォームでは、サービスの買値と売値の両方を同時に提示することで、運送業者と送り主の企業の両方にとって透明性の高い料金システムにしている。
料金の不透明性をなくすことで、送り主の企業はある程度正確に物流コストを予測できるようになる。それが、物流部門への投資の拡大につながるだろうとオゾーは期待してる。
(下から3番目の段落を更新。ナイジェリア国内のすべてのトラックを追跡できるようにするという計画について記載を追加しました。)
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この記事は、Bloombergのトープ・アレイクとアンソニー・オサエ・ブラウンが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。