ニュージーランドの大手スーパーマーケットチェーンのcountdown(カウントダウン)は、これまで一部店舗で試験的に導入していた『静かな時間(Quiet Hour)』を全国の店舗で導入することを発表した。『静かな時間』は、自閉症を抱える人など、音や光などの刺激によって不安を感じやすい人や、静かに買い物を楽しみたい年配の方々に、週1回、快適に買い物をしてもらおうと考案された取り組みだ。

countdown(カウントダウン)では、毎週水曜日の午後2時半から3時半までを『静かな時間』としている。この時間は照明を暗くして、店内のラジオを消し、レジの音量を下げ、カートの回収や棚の商品補充を最低限に抑え、緊急時以外アナウンス放送はしないと、統括マネージャーのキリ・ハネフィンは説明する。

この取り組みは、自閉症の息子を持つスタッフの提案から始まった。1年間にわたって一部の店舗で試験的に導入し、今回、全国180店舗での実施を決めたという

「私たちが目指すのは、全国すべてのお客様とそのご家族を歓迎し、受け入れるスーパーマーケットです。食料品の買い物は、一部のお客様にとっては不安を引き起こす体験になります。そういった方々もサポートしたいと考えていました。」とハネフィンは語る。

「嬉しいことに『静かな時間』は多くのお客様からご好評をいただいております。年配のお客様はこの時間に、とても楽しそうに買い物をしています。また、買い物を少しストレスに感じていた他の多くのお客様も、この時間に来ていただければ、心穏やかに買い物が楽しめるようになりました」

ニュージーランドの自閉症支援団体オーティズム・ニュージーランドの最高責任者デーン・ドゥーガンは、『静かな時間』の導入に「ワクワクしている」と話す。この取り組みが、自閉症を抱える人々の生活に意味のある変化をもたらすだろうと期待を込める。

「小さな変化が、より多様性を受けいれる環境を作り出し、人々に大きな影響を与えうるのです」とドゥーガンは言う。「この1年、私たちの元には、自閉症の人々やその家族から『静かな時間』が設けられたことを喜ぶ声や、自閉症とその感覚の特性への理解が深まったことを高く評価する声が数多く寄せられています」

 

この記事は、ダニーデン在住のエレノア・エインジ・ロイが執筆したThe Guardianの記事であり、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。