「“性”と“生”の多様性」を祝福する、アジア最大級のLGBTQ+関連イベント「東京レインボープライド2023(TRP2023)」が、4月22日(土)~23日(日)に代々木公園で開催された。
TRP2023を主催しているのは、性的指向および性自認にかかわらず、すべての人がより自分らしく誇りをもって前向きに楽しく生きていける「Happy!」な社会の実現を目指している「特定非営利活動法人 東京レインボープライド(TRP)」だ。2012年よりほぼ毎年、LGBTQ+※1当事者とその支援者であるAlly(アライ)※2と共にイベントとパレードを開催している。今年は会場に約24万人を、パレードに約1万人を動員。明るく前向きなパワーにあふれた、大盛況のイベントとなった。
協和キリンは今回初めてこのTRP2023にブース出展し、約20名の従業員がパレードに参加した。従業員は、訪れた人々との対話から多くの気づきを得たようだ。当日の様子を伝える。
※1 Lesbian(レズビアン)、Gay(ゲイ)、Bisexual(バイセクシャル)といわれる性的指向、Transgender(トランスジェンダー)といわれる性自認、Questioning(クエスチョニング)の頭文字をとった言葉。+はLGBTQで言い表せない人も含め、性の多様性の取りこぼしがないことを目指すことを示している。 (関連:MIRAIPORT LGBTQとは? https://www.mirai-port.com/people/2523/)
※2 LGBTQ+の当事者ではないが、LGBTQ+を積極的に支援し行動する人のこと。
「よく知り、ともに考え、ともに創る」
画像:当日の様子
出展のきっかけは、労働組合の本社支部支部長の井邊亮子さん(営業本部マーケティング部)から人事部の多様性・健康・組織開発グループへの声がけだった。「協和キリンには、同性婚であっても、法律婚と同じ社内制度を利用できるという社内規定※3があります。そういうウェルカムな姿勢を、企業の立場から社内外にもっとアピールしたほうが良いと思い、協働での出展を提案しました」(井邊さん)。折しも同グループで会社としての参加を考えていたタイミングだったため、提案はすぐに快諾され、プロジェクトチームを組み、初のブース出展の準備を進めることとなった。
画像:平林さつきさん(左/人事部 多様性・健康・組織開発グループ マネジャー)と井邊亮子さん(右/労働組合の本社支部支部長および営業本部マーケティング部)
出展のコンセプトは「よく知り、ともに考え、ともに創る」。協和キリンではDE&I宣言※3のもと、「一人ひとりが多様性の当事者であることを知り、誰もが公平な環境でビジョンに向けて成長する機会を享受できるインクルーシブな職場」を目指し、取り組みを進めている。今回は、ブース出展を通し、その考え方を社外にも伝え、DE&Iの取り組みの基盤にもなる「よく知り、ともに考え、新しい社会をともに創る」の実践の場にしたいという思いがあった。
※3 協和キリンではグローバルでの「私たちのDE&I宣言」を策定し、発信している。
ロスフラワーのオーナメントで記念撮影
画像:フラワーオーナメントを手に、来場者に声がけをする山路佳奈子さん(左/調達部企画グループ)と大島直樹さん(右/営業本部 流通推進部流通企画政策グループ マネジャー)。今回は社内イントラネットで、ブースで来場者に声がけをするボランティアを募集した。するとたった数日で、関係者の予想を超える20人近くの従業員からの申し込みがあった。
ブースでは、ロスフラワー(廃棄される運命だった花)で作られたフラワーオーナメントを準備。それを持って記念写真を撮れるようにした。「訪れる方々が、この場に来た記念となる写真を撮影する場を提供することで、企業としてLGBTQ+のムーブメントを応援したいという思いがありました。ロスフラワーを使ったのは、サステナブルな花を使っているところが、SDGsについて伝えたいという私たちのコンセプトにぴったりだと思ったからです。会議で提案があった時、全会一致で即決しました」(平林さん)。
ブースに訪れた来場者の方々
画像:米国出身のCrystalさんとカナダ出身のAlexさん。「LGBTQへの共感を示したくて来ました。私たちの国の状況と比べると、日本社会にはもっとやれることがあると思うので、今後に期待しています」
画像:千葉県から訪れていたMaoさんとMiaさん。「去年は気づいた時に終わっていたので、今年はスケジュール帳にしっかり書き込んでから来ました。LGBTQを応援してくれる方が集まる場があるって最高ですね!」
画像:都内から4人組で訪れていたそういちさんとかっしーさん。「お花が珍しく、かわいいと思って並んだのですが、サステナブルなお花だと知ってさらにいいな、と思いました」
画像:協和キリンの宮本昌志社長も、家族と共に訪問。「今回、20代の社会人である娘と息子も『是非』というので一緒に来ました。若い世代の参加者が多く、みんなが自然と笑顔になるような雰囲気ですね。これから社会を担っていく世代のなかで大きなムーブメントになっていると、頼もしく感じました」
「今、一番気になるSDGsトピック」を調査
ブースでは、当サイト「MIRAI PORT」の紹介も行った。MIRAI PORTでは、PEOPLE(人間)、PROSPERITY(豊かさ)、PLANET(地球)、PEACE(平和)、PARTNERSHIP(パートナーシップ)の5つの視点からコンテンツを配信しているが、皆さんはどの分野に興味を持っているのだろうか? 来場者に問いかけて、気になる視点にシールを貼ってもらった。
画像:都内から訪れたTakuさん、Kanabritさん、Minaさん。2人が世界情勢を考えて「Peace」を、1人が「地球はすべての源になる大事な存在だから」という理由で「Planet」を選択した。
結果としては「どれも大事だから選ぶのが難しいな」といった声が多く、総数1500票のうちPEOPLE(人間)、PROSPERITY(豊かさ)、PLANET(地球)、PEACE(平和)の4つの分野に、ほぼ同じ数のシールが集まった。人事部の吉永享史さんは「ブースでの対話を通じて、世の中をよりよくしていきたいという意識が高い方ばかりだと感じました。MIRAI PORTをいつも読んでいるというコメントや、増やしてほしい記事のリクエストもいただきました。私たちの日々のやりがいや使命感につながります」と語った。
パレードで自ら体験する、多様性の第一歩
画像:渋谷でのパレードの様子
4月23日(日)の午後には一般社団法人Get in touch!のグループに入る形で、従業員の有志20名ほどがパレードに参加。代々木公園からスタートし、渋谷と原宿を2時間ほどかけて歩いた。
画像:パレードに参加した人事部の多様性・健康・組織開発グループマネジャーの吉永享史さん
画像:協和キリングローバルHR担当のSian Abelさん。「私がこれまでに参加した英国のパレードに比べると、少し規模が小さいですね。でも、こういったイベントは大事なテーマにスポットライトを当て、同時にみんなを笑顔にする素晴らしい動きだと思います」
画像:人事部多様性・健康・組織開発グループ長の安田正彦さんは、沿道の人たちと言葉を交わしながらハイタッチしていた。「やはり、来て体感することが大切だと感じました」
画像:パレード前日に協和キリンのブースを訪れ、従業員と仲良くなり、一緒に「Happy Pride!」と声を上げていたKenさん。「パレードの動画を見て『参加して良かった』と思い返すのが、毎回の楽しみになっています」
パレード終了後、従業員からは「課題解決のためではなく、純粋に楽しいイベントに参加した感じでした」「こんなに多くの方が沿道から見守ってくださっていたとは知りませんでした。良い機会ですね!」といった声が聞かれた。
パレードの必要がない社会を目指して
画像:労働組合の本社支部執行委員および研究開発本部臨床開発センターの豊田裕衣さんは、ご家族と参加。「みんな違ってみんないいのだよ、と伝える場だと感じ、とても温かい気持ちになりました」
TRP2023の終了後、人事部の平林さんは「昨年は私を含む人事部の2人でパレードに参加しただけでした。今年はこんなに多くの従業員が参加してくれたことに、喜びと感謝しかないです」と感慨深げに話した。今後は「せっかくこのテーマに関心のある皆さんとつながりができたので、1回きりで終わらせず、さらに新たな社内施策へと発展させたい」とのことだ。
労働組合の井邊さんは「パレードの必要がなくなり、みんなが当たり前に生活できる会社や社会になっていけるといいなと思っています。来年も、今年以上に充実した形で出展したいです」と笑顔で語った。今回の出展とパレードへの参加を経て、社内外にどんな変化が起こっていくのか、これからが楽しみだ。
協和キリンは、2022年にLGBTQ+などの性的マイノリティに関する職場における取り組みの評価指標「PRIDE指標2022」の最高位「ゴールド」を、受賞しました。誰もが働きやすい環境を整え、社員がやりがいと誇りを持って活躍できる企業を目指し、協和キリンではさまざまな活動を続けています。 |