毎年2月最終日は、世界希少・難治性疾患の日(RDD)!

2008年にスウェーデンで始まった「世界希少・難治性疾患※1の日(Rare Disease Day:RDD)」は、「希少なうるう年があるから」という理由で2月末日に定められた記念日だ。目指すのは、より良い診断や治療によって、希少・難治性疾患の患者さんのQOL(Quality of Life, 生活の質)を向上すること。毎年、この日に向けてさまざまな取り組みがおこなわれている。

近年は100か国で関連イベントが開催され、希少・難治性疾患領域で世界最大級の社会啓発活動となっている。日本では2010年から始まり、2022年は全国各地で50以上の関連イベントが開かれた。

協和キリンは、SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」を重点課題に掲げており、患者さん目線に立ち、より良い医療と生活環境を作ることを目指す「ペイシェントアドボカシー(PA)※2」に力を入れている。

希少・難治性疾患の人々を取り残さず、患者さん目線でサポートすることを呼びかけるRDDは、PA、そしてSDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」を体現する日だとも言える。そのため、協和キリンでは毎年、RDDの前後に世界のリージョンごとに社内外で啓発活動をおこない、理解と支援を呼びかけてきた。日本ではどんな活動がおこなわれたのだろうか? 

※1希少・難治性疾患

患者数が少ないことや、病気のメカニズムが複雑なことなどから、治療・創薬の研究が進まない疾患を指す。

※2ペイシェントアドボカシー

「患者、医師、製薬会社の対話と連携により、疾患に関する正しい理解を促し、より良い医療と生活環境を築こう」という考え方。「ペイシェント」は患者、「アドボカシー」は「擁護・代弁」を意味する。 

協和キリンも RDD Japanをサポート

rdd-jp-jp-01.jpg

画像:ASridより提供、RDDジャパン2022用に作られたキービジュアル

日本のRDDの活動は、「RDD Japan」が取りまとめている。開催事務局を務めるのは、希少・難治性疾患の課題解決に取り組むNPO法人ASridだ。

RDD Japanは、希少・難治性疾患の患者さん・ご家族と一般社会をつなぐことを目的としている。患者さん・ご家族だけでなく、医療従事者、医薬品研究開発者や一般の方々まで「多様な関係者による多彩な企画」が全国各地で展開される点が大きな特徴で、現時点では世界で唯一無二の全国規模の活動となっている。

協和キリンはこのコンセプトに深く共感し、RDD Japanに協賛している。また、協和キリンはASridとRDD Japan以外でも協働し、製薬会社の立場から希少・難治性疾患に関する啓発活動をおこなっている。

2021年12月にはASridが設立した、医療従事者や企業から得た正しい情報を多角度から発信する希少疾患情報コミュニティ「STEP (Strategic Translational Action for Empowering Patient)」に参画。患者さんやそのご家族をはじめとしたステークホルダーの「知りたい」にしっかりと応えられる体制づくりを、共に進めてきた。

RDD-asrid-01

画像 ASridの西村由希子氏、江本駿氏からの協和キリンへのメッセージ動画の様子

関連記事:希少・難治性疾患の課題にパートナーシップで取り組む① ステークホルダーをつなぐ中間組織ASridの挑戦

社内向け啓発活動のキーワードは「やってみた」

協和キリン社内向けの啓発活動は、コーポレートコミュニケーション部のペイシェントアドボカシー(PA)担当者が中心となり、社内SNSを活用しながら進められた。

画像:社内SNSでRDD関連の投稿をした社員には、先着順でRDDグッズがプレゼントされた。プレゼントの一部は、RDD関連の寄附につながる。

RDD関連の投稿で力をいれたのが、参加型の「やってみた」シリーズだ。大きく分けて2つの試みを進めた。

1つ目の「やってみた」は、ラジオ体操

ラジオ体操とは意外に思えるかもしれないが、一部が指定難病の1つである乾癬は、メタボリックシンドロームとの関連が指摘されており ※3※4、適度な運動が推奨されている。協和キリンが運営する乾癬患者さん向けの情報サイト「SORA -晴れやかソライアシスライフ-」でも、卓球選手とラジオ体操をしよう!」として、協和キリン卓球部の選手によるお手本動画を掲載しているのだ。

そこで今回は、協和キリン社員がラジオ体操を「やってみた」。離れていても一体感を持ちながら取り組めるように、全国各地の営業所や事業場で卓球部のお手本動画を見ながらラジオ体操を実践。その様子を撮った写真や動画をSNSに投稿しながら、リレー形式でつないだ

オンラインで各地をつなぎ、一緒にラジオ体操を行う様子(協和キリン公式Twitterアカウントより)

ポイントは、投稿をし合う際に、PA担当者から必ずRDDに関するコメントを入れたこと。PA担当者によると「これにより、『やってみた』後で、みんなでRDDについて考えよう、自分ごと化しようという意識が広まり、その思いをコメントに載せる社員も増えてきた」とのことだ

 

2つ目の「やってみた」は、患者さん向けレシピの実践

2つ目の「やってみた」は、同じく「SORA -晴れやかソライアシスライフ-」に載っているレシピを実際に社員が試し、投稿しあう試みだ。

社員は、乾癬との関連が指摘されているメタボリックシンドロームに配慮し、考案された「鶏ととうもろこしの炊き込みご飯」や「豆乳抹茶プリン」などに挑戦。

img_recipe02.jpg

SORA -晴れやかソライアシスライフ-にレシピが掲載されている「鶏ととうもろこしの炊き込みご飯

img_recipe04.jpg

SORA -晴れやかソライアシスライフ-にレシピが掲載されている「豆乳抹茶プリン

「レシピを通じて食事が分かり、当事者の気持ちに少し近づけた気がする」といった感想があった。これに応えて、様々な疾患の患者さん向け資料を作成する部署の社員からは「前向きな気持ちで食事を楽しんでもらえように心がけています」「少しでも『やってみようかな』と患者さんに思ってもらえるように、作成時に工夫を重ねています」といった声が寄せられた。 

協和キリン社員が作った料理の数々(協和キリン公式Twitterアカウントより)

 

PA担当者は「想定以上のコメントが集まりました。参加者の視野が広がり、自分の業務をふりかえるコメントや、患者さんの生活を想うコメントが増えてきました」と、笑顔で教えてくれた。

※3J Eur Acad Dermatol Venereol. 2022 Jun;36(6):797-806. 

Psoriasis (Auckl). 2022 Jul 2;12:189-197.
古江増隆、大槻マミ太郎編集『ここまでわかった 乾癬の病態と治療(皮膚科臨床アセット)』(中山書店2012)より

※4指定難病である汎発性膿疱性乾癬(GPP)とメタボリックシンドロームの関連性に言及する記載ではありません。

患者さんの目線に立ち、よりよい支援を

コロナ禍の影響で物理的に集まることはできなかった、今年(2022年)の協和キリンでのRDD。PA担当者は、今年の成果について「こうした試みを通じ、日本全国の社員がつながり、共にRDDと向き合うことができました。約1か月間の施策でのべ185人もの社員が運動やレシピの投稿に参加し、興味を持ってくれる人が増えました」と振り返った。来年に向けて、さらに多くの社員が参加できる仕掛け作りを検討しているそうだ。

協和キリンが大切にしている「患者さんを中心に置いた医療ニーズへの対応」を実現するには、まず患者さんの目線に立つことが重要だ。今回は、希少・難治性疾患の知識を得るだけでなく、患者さんがおこなっている運動や食事にもふれることで、社員それぞれが、患者さんの日常に思いを馳せた。社員は、今回得た学びを日々の業務に活かしながら、今後も希少・難治性疾患の患者さんのサポートに取り組んでいくだろう。今後への期待が高まった。