要点

  • 食料品の買い物客は、透明性を重視している。米食品産業協会(FMI)の最新の報告書によると、食品の原材料や製造工程に関する情報の充実度を重視する、あるいは非常に重視すると答えた人は、調査回答者の72%に上った。
  • 企業にとっては、透明性は顧客の維持につながる。調査対象となった買い物客の79%が、原材料の中身が漏れなく分かりやすく表示されている方が信頼できると答えた。また、同じく79%が商品ラベルの情報が充実しているブランドをより好んで選ぶ、と回答している。
  • 情報を求める消費者のニーズに応えるために企業ができることとして、FMIは、価値観に基づく消費の動向を追うことや、オンラインで買い物をする人々が自分の健康やウェルネスの目標に沿った商品を見つけやすいようにすることなど、複数の可能性を提示している。また、オンラインショッピングは特に、企業が透明性を高めるチャンスのある領域であるとFMIは指摘している。

詳細

米食品産業協会(FMI)の調査で、買い物時の購入額が多い人やオンラインで買い物をする人は、透明性を重視する傾向が強いことが明らかになった。こうした中で企業は、オンラインショップの透明性をもっと高められるはずだとFMIは述べる。

また、買い物客は商品ラベルの表示以上の情報を求めていると指摘した上で、企業に対し、デジタルなどの別の手段を通じたより詳しい情報の提供を勧めている。

同レポートの内容は、2021年9月14日から28日にかけて十数回に分けて行われた買い物客へのインタビューに基づくもので、「年齢、性別、地域、人種、民族、収入、家族構成をもとに各層からランダムに抽出された、米国の一般的な買い物客1035名」を対象とした。

消費者が詳しい情報を求める背景には、健康とウェルビーイング(78%)への関心や、環境に配慮した商品へのニーズ(69%)、自分が買う商品についてもっと知りたい(78%)など、さまざまな動機がある。

※「ウェルビーイング」とは、個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精 神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念。(引用元:雇用政策研究会報告書 概要(案) – 厚生労働省)

ある商品が食生活や健康に関する自身のニーズに合っているかをラベルで確認する傾向は、都市部に住む人々などの一部の層で強いことも分かった。このことからFMIは、企業が透明性向上に取り組む際には、顧客の特性やターゲットとなる買い物客の分析から始めると良いのでは、と提案する。また、全体としてやはり若者層の方がラベルには載っていない詳しい情報を求める傾向にあるようだ。

買い物客が企業の透明性を判断する基準は?

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オンラインで情報を探すことがある、と答えた買い物客は77%に上る。企業としては、アプリやウェブサイト、あるいは外部のパートナーを通じて詳しい情報を届ける方法を検討すると良さそうだ。

だが、オンラインならではの難しさもあるとFMIは指摘する。オンラインでは自分の求める条件に合った商品を探しにくいと答えた買い物客は74%であるのに対し、実店舗では63%だったのだ。

基本的な栄養成分や原材料の情報でさえも、オンラインへの掲載は義務ではないため、見つけにくいことがある。ニューヨーク大学グローバル公衆衛生学部とタフツ大学フリードマン栄養科学政策校の研究者らが最近発表した分析によると、米食品医薬品局(FDA)が商品パッケージへの掲載を義務付けている栄養成分情報や原材料の一覧は、オンラインの商品ページの36.5%にしか載っていない。分析は、食品小売企業9社を対象に行われた。

ウォルマートやターゲットをはじめ、特定の条件を満たす商品を顧客が探しやすくなるような新たな手段を、オンラインと実店舗で導入した小売企業も数社ある。ジャイアント・カンパニーハイヴィーなどの一部の企業はQRコードを活用し、商品の探しやすさを高めるとともに、より充実した商品情報を買い物客に提供している。

透明性を軽く見る企業からは、顧客は離れていくだろう。プライベートブランドではなおさらだ。FMIの調査で対象となった消費者の55%が、商品ラベルによく分からない点があれば、別の商品を見ると答えた。透明性の重要性に関する設問では、64%の人々が、商品パッケージのラベル以上の詳しい情報が得られる商品があれば、普段買っているブランドの商品から乗り換えると回答した。

この記事は、Grocery Diveよりキャサリン・ダグラス・モランが執筆し、Industry Dive Content Marketplaceを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはすべてlegal@industrydive.com