米国のトランスジェンダー競泳選手リア・トーマスのチームメイト16人は、2月3日、大学スポーツ各局にある要望を出した。米国水泳連盟の新しい規則に従い、トーマスの今後の選手権出場を禁止するよう求めたのだ。
元オリンピック競泳選手のナンシー・ホグスヘッド=マカール氏が、ペンシルベニア大学の競泳選手16人を代弁し、同大学および所属するアイビーリーグ宛てに手紙を送った。その中で、女子の大会へのトーマスの出場を認めるべきではないと主張している。
トーマスはペンシルベニア大の学生選手として、最近の全米大学女子の大会で圧倒的な強さを見せている。だが、ほんの数年前まで、彼女は同大学の男子選手として競技に出ていたのだ。
トーマスの問題については、賛否が分かれている。彼女は生理学的に有利であり不公平だとする主張もあれば、女性として自由に競技できるようにすべきという声もある。
2月1日、米国の水泳界を統括する米国水泳連盟は新たなガイドラインを発表し、その中で、テストステロン(男性ホルモン)の基準値も厳格化された。
新ガイドラインにトーマスを名指しした記述はない。だがその内容から、彼女がアイビーリーグや全米大学体育協会(NCAA)などの主要な大会に出場するのは難しくなると見られている。
1日夜には、ペンシルベニア大競泳チームの一部のメンバーが、トーマスの出場権を支持する声明を発表した。その一方で3日には、さらに別のグループが、女子の大会への参加に異議を唱えた。
ホグスヘッド氏の手紙に、ペンシルベニア大の競泳選手16人の名前は書かれていなかった。同氏は、女性の法的権利の擁護を目的とする非営利団体「チャンピオン・ウィメン(Champion Women)」の代表を務めている。
16人の選手たちは、トーマスの性自認は尊重するが、スポーツでは「“生物学上の性”と“自認する性”は別の問題」だと訴えている。
「リアには生物学的な強みがあります。女子の部で戦うのは不公平です」と手紙には書かれている。男子競泳選手として462位だったトーマスのランクは、女子として1位に急浮上したという。
「彼女に私たちと競技する資格を認めれば、ペンシルベニア大、アイビーリーグ、NCAAの女子記録はたちまち塗り替えられるでしょう。彼女が男子アスリートとして出場したら、そのような結果は望めないはずです」と16人は主張する。
また、トーマスを非難するならチームから追放すると警告されていたことも明かした。
「私たちはリアを精神面で支えます。だからペンシルベニア大とアイビーリーグには、私たちのことも支えてほしいのです」
「そもそもスポーツは競い合うものです。私たちの犠牲の上に、リアの勝利、記録、栄誉が成り立つ状況を許してはなりません。選手たちは、ペンシルベニア大女子競泳チームの出場枠を手にするために人生のすべてを捧げているのです」と記されている。
手紙では、ペンシルベニア大とアイビーリーグに対し、米国水泳連盟の新規則に法的な異議申し立てをしないよう求めている。「そうすれば、納得のいく成績で胸を張って今季を終えることができます」。
ホグスヘッド氏とペンシルベニア大は、記者からのコメントの求めに応じなかった。
アイビーリーグの広報担当者によると、提出された手紙について組織からコメントはないという。
Teammates of transgender swimmer seek bar from women’s competitionはDigital Journalに掲載されたものです。
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