英国で活躍する有名シェフのジェイミー・オリヴァーは、活動家らとともに、学校給食の質の向上に取り組んでいる。その彼が、同国の教育大臣であるナディム・ザハウィと面会することになった。数百もの学校の指導者らと力を合わせ、新型コロナウイルスのパンデミックで増加した子どもの肥満への対処を政府に求めてきた努力の成果だ。

オリヴァーが率いる慈善活動「Bite Back 2030」には、学校の校長や学校運営の改善に取り組むアカデミートラストの幹部が参加している。今回、「Bite Back 2030」がザハウィ教育相に送った書簡は、政府が定める食料戦略の改訂を求めるものだった。さらに、健康と栄養に関する基準への取り組みの進捗について報告する年次給食レポートの発行を英国内の学校に求めることも提案された。

オリヴァーは、2005年に放送されたテレビ番組シリーズ「ジェイミーのスクール・ディナー」の中で、ジャンクフードとして知られるターキー・トゥイズラーが給食のメニューとして広く導入されていることを世に知らしめ、不健康な学校給食に対する議論が英国全土で始まるきっかけを作った人物だ。給食の質について信頼できない学校があまりに多く、今も改善の余地が残ると彼は指摘する。

関連記事:英国で無償給食の対象となる子どもが170万人に急増

「現在、子どもが学校で質の良い食事をできるかどうかは、住んでいる地域で決まります。だから私は、たくさんの先生方や子どもたち、慈善団体と一緒にロビー活動を行い、すべての学校に年次計画を作らせる政策の導入を、ザハウィ教育大臣に求めているんです。そうすれば、住む場所に関係なく、すべての子どもたちが健康的で栄養価の高い給食を食べられるようになります」とオリヴァーは語る。

彼が1月にこの問題についてTwitterに投稿した直後、ザハウィ大臣から書簡への回答があった。大臣は、「この重要な問題を提起してくれた」ことに感謝するとともに、面会の調整を申し出た。

この書簡は、Ark、Star Academies、Ormiston Academies Trustなど、多数の英国最大級のマルチアカデミートラスト(複数の学校を運営するトラスト)の幹部の支援を得て作成された。協力した学校の数は600校を超える。

ザハウィ大臣への書簡には、「コロナ禍で英国はさまざまな影響を受けましたが、中でも肥満率の急上昇は重大な問題であると考えています」と書かれている。

「子どもの肥満や健康の不平等裏には、当然、込み入った事情があります。しかし、私たちは学校の指導者として、子どもたちが1年のうち190日を過ごす学校は、食の健康の基礎を作るために必要なあらゆる取り組みを行えるよう支援を受けるべきだと考えています。つまり、機会均等を目指すレベリング・アップ戦略や食料戦略を策定する政府にこそ、英国の学校給食システムを再考し、見直し、改革する機会があるということです」

この書簡に先立ちBite Backが最近まとめたレポートでは、無償給食の対象となっている子どもたちが、自分たちに与えられる選択肢が少なくなっていると訴えていることなど、セカンダリースクール(日本の公立中学校・高校にあたる)で提供される給食に大きな差があることが明らかにされた。

ある生徒は、「体にいい選択肢が全然ないんです。私の学校では、前はサラダボウルやフルーツボウルが出ていたけど、今はそれがなくなって、ジャンクフードばっかりになりました」と語っている。

食べ物の質や選択肢が乏しくなっている原因の一つは、プライマリースクール(初等教育)の低学年全員に提供される無償給食に充てられる予算も含む、学校給食に対する補助金を教育省が増やさないからだと批判されている。英政府が支払っている金額は、子ども一人の一日の食事につき2.34ポンド(約370円)に過ぎず、2011年からほとんど変わっていない。

This article was written by Richard Adams Education editor from The Guardian and was legally licensed through the Industry Dive Content Marketplace. Please direct all licensing questions to legal@industrydive.com.

この記事は、The Guardianよりリチャード・アダムス・エデュケーション・エディターが執筆し、Industry Dive Content Marketplaceを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはすべてlegal@industrydive.comまでお願いいたします。