サウジアラビア女子サッカーリーグの誕生は、プロのサッカー選手を夢見る少女たちを後押しする。彼女たちが、ワールドカップでプレーすることだってあるかもしれない。

サウジアラビアでは、女性の行動が厳しく制限されていて、昔から非難を受けていた。何十年も禁止されていた女子サッカーが解禁されたのは、ほんの数年前。そして今度は、主要な世界大会で戦う実力のあるナショナルチームが作られようとしている。

極めて保守的なイスラム教国家であるこの国では、そうした改革の動きに対して、人権を軽んじてきた過去や女性活動家を投獄してきた事実を、スポーツを利用してごまかそうとしているという批判もある。

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ヒジャーブを身に付け顔を覆う女性たち

ごく最近の改革の動きは、2021年11月に、サウジアラビアのサッカー連盟が、女子サッカーリーグの編成を発表したことだ。リーグでは、16のチームがリヤド、ジッダ、ダンマームの各都市で試合を行う。

こうした動きに胸を躍らせている一人が、ファラ・ジャフリだ。彼女の夢は、プロ選手になってイングランドの上位リーグでプレーし、ワールドカップという最大の舞台で国の代表として戦うことだという。

「サッカーを始めたばかりの頃は、大変なこともありましたよ。女性がサッカーをすることを認めない人たちもいたので」と彼女は語る。

「でも、家族や友だちはすごく応援してくれたんです」ポニーテールにジャージ姿の18歳の少女は、そう説明した。

サッカーが大好きなのに試合に出られない多くの少女たちと同じで、ジャフリも親戚の子と道路で練習したり、学校で友だちとプレーしたりしていた。

それ以外にサッカーへの情熱を発散させる方法と言えば、テレビで試合を見ることだけだったそうだ。

イスラム教の厳格な解釈にこだわるサウジアラビアでは、女性がスポーツに関わることに対して、いまだに眉をひそめる人々もいる。

でも、2017年にムハンマド・ビン・サルマン皇太子が権力の座についてからは、全面的な改革を実施して開かれた国を目指し、女性に対するいくつかの制約も取り除いた。

改革によって、女性は車を運転できるようになり、男性と女性が同じ場所に参加できるようになった。とはいえ、イスラム教の教えに反する行為への厳しい締め付けは残っている。

―「ナンバーワン」になる―

関係者によると、ジャフリは、女性ナショナルチームの候補400人から選出された、約30人の選手の一人だという。

「いつか、女子ワールドカップで祖国の代表としてプレーしたいです」と彼女は言う。プロ選手として、イングランドのマンチェスター・シティでプレーしたいとも話す。

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サウジアラビアにはプロの女子サッカーチームはない。一方、男子はワールドカップに5回出場している。

リヤドで行われた練習では、ナショナルチームの女子選手たちが、プリンス・ファイサル・ビン・ファハド・スタジアムのフィールドに、大喜びで駆け出していく姿が見られた。ベールをつけていない選手もいたが、ショートパンツの下には長いズボンをはいていた。

サウジアラビアの女性がスポーツをするときの服装規定は、当局が今後発表するはずだ。かつて女性たちは、規定を守るよう厳しく求める宗教警察から、厳重に監視されていた。

ナショナルチームのゴールキーパー、ラマ・アル・オネイジは、チームに参加できることがとても嬉しいと語る。

「自分の夢だけじゃなくて、両親の夢も実現できたんです。2人は、私の挑戦を心から応援してくれました」25歳の彼女はそう話す。

サウジアラビアはこれまで、13~17歳の女子のためのトレーニングセンターを国内に3カ所設立した。2025年までには9カ所に増やす計画だ。

また、ドイツ人のモニカ・シュターブを女子ナショナルチームの監督として任命したことも発表した。チームの愛称は「”Green Eagles” 緑のワシ」だ。

「何もかも初めてのことばかりで、歩き始めた赤ん坊のようです」とシュターブは言った。彼女は2002年の第1回UEFA女子チャンピオンリーグで、監督としてアイントラハト・フランクフルトを優勝に導いた人物だ。

サウジアラビアの女子ナショナルチームは、現在、2月に開催される初の親善試合に向けて準備を進めている(記事執筆時点)。

バーレーンやカタールの女子ナショナルチームを指揮したこともあるシュターブは、見通しは明るいと語る。

「5年から8年もすれば、ペルシア湾岸諸国でナンバーワンのチームになると思います。そうなれば大きな成果です」

 

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