フロリダ州ボウリング・グリーンで幼稚園教員に従事しているトニア・ラングストンが、子どもたちに「ミルクはどこからくるの?」と質問すると、子どもたちは「キッチン」と答えた。同じくバナナがどこからくるかを聞いたときも答えは同じく「キッチン」。

彼女が受け持つ子どもたちは3~4歳と小さい。それでも、農場で働く移民労働者を親に持つ子どもたちだからこそ、彼女ら職員は、お父さん、お母さんがどんな仕事をしていて、なぜそれが大切なのかをもっと伝えたいと思っていた。

親の仕事の大切さをしってもらおうと、「東海岸移民 ヘッドスタートプロジェクト」では、対象の子ども全員に、子どもたち自身が植え付けをした幼稚園の菜園で毎日土をさわり、植物の世話をすることができる。

「自分が口にする食べ物がどこからくるのかを、子どもたちが理解することが大切なんです。自分で育てたものを自分で食べることができること――子どもたちにとっては、わくわくする体験です。達成感や自信にもつながります」とラングストンは述べる。

子どもたちが、人生の好スタートを切れるように

「東海岸移民ヘッドスタートプロジェクト」は、スコッツ・ミラクルグロー財団の支援を受けて全国規模で展開されているプログラムの一つだ。このプログラムの目的は、高リスク地域に住む子どもやその家族が新鮮で健康によい食品を入手できるよう支援すること。「グロー・モア・グッド・ガーデン助成金」の支援を得て、ラングストンのクラスにいるような幼少の子どもたちは、一般的な公立小学校への就学準備教育に加えて、ニンジンはどうやってできるのか、どう育てるのかも学んでいる。

同プロジェクトの責任者の一人であるドラ・サンダースはこのように述べている。「子どもたちに野菜を育てさせることは、教育活動が充実するだけでなく、健康的な食生活にもつながります。さらに、子どもたちの親はみな農業に携わっているので、家庭生活にも結びつくのです」

ラングストンが教える子どもたちの多くはスペイン語を話すため、英語を話す職員とスペイン語を話す職員が二人一組で各クラスを担当する。「学習で遅れを取らないよう、子どもたちが英語を理解できるようになることは重要です。でも自分たちの言葉や文化を失わないことも重要なのです」と、サンダースは述べる。

ラングストンと一緒にクラスを担当しているカルメン・ヘルナンデスは、英語とスペイン語の橋渡しをするだけでなく、親たちの仕事と菜園での体験をつなぐ手助けもする。「子どもたちの親が畑で働いているからこそ、野菜づくりを教えることで、家庭での学びと幼稚園での活動をつなげられればと考えています」

野菜の生長を学ぶ

同プロジェクトの子どもたちは、種まきから収穫にいたるまで、小さな菜園で作物が生育する過程を体験する。根、茎、雑草、土などの言葉を覚え、自分の手で植え付けや草取り、収穫を行う。一年が終わる頃には、「食べ物はキッチンで調理されるが、もとをたどればそれは菜園から始まっている」ということを、みんなが理解するようになるようだ。移民の季節労働者グリセルダは、同プロジェクトに参加する娘のロゼリンが、学校で植えた作物や、その育て方について習ったことに夢中になっていたと話す。

「食べ物を育てることを学ぶ……これは子どもたちにとって大切なこと。私たちは、それで生活を支えているのですから。子どもたちに本当に役立つ教育です」というグリセルダ。

ラングストンによれば、野菜を育てることは、算数や理科、認知思考に欠かせない基本的な考え方を身につけるのに役立つだけでなく、小さいうちから栄養の大切さを学ぶきっかけにもなるようだ。

「菜園はどの学校にも、どの家庭にもあるべきだと思います。そこで教えることはたくさんありますし、子どもとの共通の話題にもなります。それに、食材に使うお金も節約できて、子どもと過ごす時間の中で絆を深めることもできます。菜園は生活のとても重要な一部なのです(ラングストン)」

スコッツ・ミラクルグロー社では、子どもたちやその家族、地域の人々に新鮮な作物の育て方を教えることを目的として、米国各地のヘッドスタートプログラムのもとで、「東海岸移民ヘッドスタートプロジェクト」のような事業に「グロー・モア・グッド・ガーデン助成金」を提供している。 www.nhsa.org

本記事はEatingWellに掲載されたものです。

 

この記事は、Cooking Lightのリンジー・ワーナーが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。