要点

  • アル・ゴア元副大統領が会長を務めるジェネレーション・インベストメント・マネジメントが発表したレポートによると、サステナビリティに関する投融資は2015年比で3倍に達した。そのうち、ESG(環境・社会・ガバナンス)ファンドへの資金流入は10倍、サステナビリティ債の発行額は8倍、プライベート・エクイティ・ファンドやベンチャーキャピタルによるESG関連の投資額は2倍に増えた。
  • 一方で、「グリーンウォッシュへの対策を講じなければ、持続可能な社会への移行において深刻なリスクが生じる」と同社は指摘する。「一部の質の低いネットゼロ目標や、目標と行動の乖離、オフセットなどの自然に頼る解決策を使う組織への規制がないことに対して、不安が高まっている」
  • さらに同社は次のように続けている。「曖昧で現実とかけ離れたネットゼロや『自然ポジティブ』の目標を称賛する時代はとっくに終わった。企業が今後数年でいかにして目標を行動に落とし込むのか、それが明確に示されることを投資家は求めている」

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詳細

米国の各規制当局は今年、企業の気候リスクへの対応やCO2排出削減に関する十分な情報開示の確保に向け、取り組みの強化に乗り出した。

米国証券取引委員会(SEC)は、「一貫性、比較可能性、信頼性のある情報開示」の推進に向け、気候関連の情報開示に関する規制を見直している。SECのゲイリー・ゲンスラー委員長は、温室効果ガス排出量などに関する測定基準の詳細が報告書に含まれるようにしたい、と述べている。

米財務長官のジャネット・イエレンは4月、SECの開示強化を支持し、財務省でも税制や国際協力、経済政策を通じてバイデン政権の温室効果ガス削減目標を後押しする方法を検討するとの意向を示した

また米連邦準備理事会は1月、「監督下の企業が気候関連の財務リスクに確実に対応できるよう適切な制度を構築」するため、監督・気候委員会を創設すると発表した。

ジェネレーション・インベストメント・マネジメントのアル・ゴア会長はリリースの中で、CO2排出削減目標を発表しておきながら、その実現に向けて動いていない企業もあると指摘した。

「長期的な気候目標と短期的なアクションプランの間に、依然として大きな隔たりがあります」とゴアは言う。「排出量の多い企業は、緊急性を再認識し、より信頼性の高い野心的な気候目標を立てるべきです」

欧州委員会によると、オンライン小売業者の間では、サステナビリティの取り組みを誇張してアピールする「グリーンウォッシュ」がはびこっているという。同委員会が2020年11月に行った調査では、ECサイト344件のうち42%が、サステナビリティについて嘘や誇張表現、誤解を招く表現を使っていたことが分かった。

「サステナビリティに関するメリットについて、消費者は混乱や誤解を招くような表現を目にすることがたびたびある」とジェネレーションは指摘する。

また、カーボンオフセットの取り組みの多くは、気候変動対策への効果を誇張している疑いがあるという。

カリフォルニア州の制度に関する調査では、「カーボンオフセットにより排出削減やCO2除去と同等の効果が得られるとする同制度の主張は、直接確認できる根拠とは大きくかけ離れている」と結論付けられた。

研究者によると、調査対象としたクレジットの29.4%が、実際よりも高い排出削減効果をうたっていた。その合計額は4億1000万ドルに相当する。

「強固なガバナンス体制のある地域でさえも、カーボンオフセット市場の質については懸念を拭い去れていない」とジェネレーションは述べている。

各規制当局によると、特に投資家は、嘘が潜んでいる可能性に注意する必要があるという。

SECは4月に発行した「リスクアラート」の中で、一部の投資アドバイザーや投資会社、プライベートファンドは、ESG原則に基づいた自社の投資アプローチについて、投資家に誤った認識を与えている可能性があると注意を喚起した。

SEC検査局の調査によると、「ESG投資プロセスに関する説明や、国際的なESG枠組みに沿っているという主張の中に、一部誤解を招く恐れのあるもの」が見られたという。

この記事は、CFO Diveよりジム・タイソンが執筆し、Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはすべてlegal@industrydive.comまでお願いいたします。