日本ではジェンダー平等な社会を作るため様々な取り組みが行われている。ジェンダー平等とは、性別を問わずに責任や権利を分かち合うことだ。

しかし、ジェンダー平等には、不十分な点が多々あるように見受けられる。そのひとつとして「ジェンダーバイアス」というものが挙げられる。

今回は、ジェンダーバイアスについて日本における問題と取り組みを交えながら解説していく。

ジェンダーバイアスとは

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ジェンダーバイアスとは、社会的性差における偏見という意味だ。ジェンダーバイアスのジェンダーとは、男性や女性であるという性別に基づき定められた、社会的な属性や機会、関係性により変化する性差を意味する。また、バイアスとは偏見のことである。

「男性は外で仕事をするのが当たり前」「女性は家事と育児をすべき」といった役割などに関する固定的な概念や差別、偏見がジェンダーバイアスにあてはまる。

このようなジェンダーバイアスによってさまざまな問題につながるおそれがある。

たとえば、「男性は青、女性はピンク」というジェンダーバイアスがあると、ピンクが好きな男性や青が好きな女性に非難が集まる可能性がある。純粋にピンクが好きな女性を女性のテンプレートとして語るのも、彼女らにとって好きなものを好きと自由に伝えることができない状況を作り出してしまう可能性がある。

さらに、男性はこうあるべき、女性はこうあるべき、という社会的な固定観念が強いと、個人の個性や能力が尊重されなくなってしまうだろう。多様な生き方を認め合える社会を構築するためにも、ジェンダーバイアスは多くの人が意識すべき問題である。

ジェンダーバイアスに関する指数

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ジェンダーバイアスの問題を改善してくためには、ジェンダーバイアスの現状を客観的に把握する必要がある。ここでは、各分野の男女格差の度合いを測り、その格差を解消する一助となる「GDI」「GII」「GGI」の3つの指数について見ていく。

GDI(ジェンダー開発指数)

GDIは、Gender Development Index(ジェンダー・ディベロップメント・インデックス)の略で、ジェンダー開発指数を表す。人間開発の男女のジェンダー・ギャップを測定する指数だ。

人間開発の基本的な健康、知識、生活水準の3つの側面を比較している。GDIが示すのは、比較する3つの人間開発の側面において、男性に追いつくための女性の数だ。男性と女性のHDI(人間開発指数)と比較してジェンダー格差が大きいほど(不平等であるほど)数値は低い。

UNCP(国連開発計画)の「人間開発報告書2020」によると、GDIの高い国は、ウクライナ、ブルンジ、ドミニカ共和国の順であった。日本は、0.978で167カ国中55位だ。

なお、GDIを算出するための男女別のHDIは、平均余命や予想就学年数、平均就学年数、推定収入などの値を用いて算出されるが、推定年収が加味されるため、所得レベルで指数の値が大きく左右される。

出典:「Gender Development Index (GDI)」(UNDPホームページ)「男女共同参画に関する国際的な指数」(男女共同参画局)

GII(ジェンダー不平等指数)

GIIは、Gender Inequality Index(ジェンダー・イニクウォリティ・インデックス)の略で、ジェンダー不平等指数を表す。健康、エンパワーメント(権限付与)、労働市場への参加、の3つの側面から男女のギャップを見る指数だ。

妊産婦の死亡率や女性1000人当たりの出産数、立法府の議席割合、中等また高等教育の達成度、女性の就労率が測定値として使用される。指数は0~1で示され、0に近いほど男女平等が実現できており、1に近いほど男女間の格差が大きい。

UNDPによると、世界のGIIの平均値は0.492(※1)である。GIIによると、不平等が大きくない地域は欧州や中央アジアであった。なお、GIIの値が低いといっても、完全に不平等がない国は存在しない。

UNDPの「人間開発報告書2020」(※2)によると、日本は、162カ国のうち24位で0.094であった。1位はスウェーデンで0.025、2位はデンマークで0.038、と北欧が上位を占めている。

一方で、GIIが高かったのは、サハラ以南のアフリカ、南アジア、アラブ諸国、ラテンアメリカなどであった。南アジアとアラブ諸国に関しては、女性のエンパワーメントも弱いと報告されている。

出典:※1 よくあるご質問:ジェンダー不平等指数(GII)とは(UNDPホームページ)

   ※2 「男女共同参画に関する国際的な指数」(男女共同参画局)

     Gender Inequality Index (GII)(UNDPホームページ)

GGI(ジェンダー・ギャップ指数)

GGIは、Gender Gap Index(ジェンダー・ギャップ・インデックス)の略で、ジェンダー・ギャップ指数を表す。ジェンダー・ギャップ指数は、健康、教育、政治、経済、の4つの要素から男女の不平等感を測定する指数である。

0~1の間で示され、0が完全不平等、1が完全平等を表す。GGIの場合は、1に近いほど男女間の不平等が少ないということだ。

世界経済フォーラムの「Global Gender Gap Report 2021」によると、1位はアイスランドで0.892、2位はフィンランドで0.861、3位はノルウェーで0.849であった。GIIと同様に北欧の国々で男女平等が進んでいることがわかる。日本は、156カ国中、120位で0.656であった。

出典:「男女共同参画に関する国際的な指数」(男女共同参画局)Global Gender Gap Report 2021(WORLD ECONOMIC FORUM)

ここまで、ジェンダーバイアスに関連する3つの指数について説明してきた。3つの指数は、それぞれ比較する側面や比較に使用する測定値が異なる。

指数を見る際には、どのような測定値が使われており、何が比較されているのかも確認すると良いだろう。

ジェンダーバイアス解消に向けた取り組み

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ジェンダーバイアスの各指数では日本の順位や数値も説明してきたが、どの指数においても、日本はあまり高い位置には存在していない。

指数によっては半分から下に位置することもあり、日本国内におけるジェンダーバイアスの問題は根深いことがわかる。ではどのようにしてジェンダーバイアスを解消していけば良いのだろうか。この項目では、ジェンダーバイアスに関連して実際に行われている取り組みを紹介する。

ポジティブアクション

ポジティブアクションとは、社会的または構造的に不利益を受けている人に対し、一定の範囲で機会を提供することで機会均等を実現することをいう。

なお、ポジティブアクション=男女平等の雇用と捉えられることもあるが誤りだ。単純に、男性と女性の管理職の数を同数にするということではない。

たとえば、勤続年数で比較したときに、男女でどちらかの性で極端に管理職が少ない場合、少ない方がどうすれば管理職になれるか考え、具体的な取り組みを行っていこうとすることだ。この場合、具体的な取り組みとして、昇進基準の明確化や試験受験の奨励などが挙げられる。

主な手法は、性別を基準に指導的地位の人数や比率を決めるクオータ制、具体的な数値に対して達成目標と期間を設定するゴール・アンド・タイムテーブル方式などだ。

ポジティブアクションにより実現できるのは、平等な機会の確保と多様性の確保だ。女性の参画が増加しているものの、ほかの先進諸国とのギャップがある日本国内における女性参画の推進と女性の指導的地位の増加が期待される。

男性の育児休業取得の推進

子育てをしながら仕事もできるように、日本には育児休業制度がある。子どもが1歳(最長2歳)になるまで、勤務先に対して申し出、育児休業を取得できる制度だ。

育児休業については男女で取得できる期間に差はなく、母親と父親両方が取得する場合は期間の延長もある。

日本国内においては、家庭での家事や育児の負担は女性に偏りやすい傾向にある。これまで、男性より女性が育児休業を取得するケースが多かった。そこで見直されたのが、男性が取得しやすい育児休業制度だ。

2025年までに男性の育児休業取得率30%を目標に、制度の推進が図られている。目標達成の他に整備されたのが、先に説明した両親の取得による育児休業期間の延長だ。

ほかにも、父親が産休中に1度取得した場合に出産後8週間以内の2度目の取得、専業主婦での父親の取得など、男性が取得しやすい育児休業が推進されている。

パートナーが協力して子育てできる環境をつくることで、女性の社会参画や働き方改革を進める狙いだ。ジェンダーバイアスの解消にもつながる。

まとめ

ジェンダーバイアスは、男女に対する社会的な固定観念を表す。日本においては、男女の役割を意識する場面はまだまだあり、ジェンダーバイアスの解消までには課題も多い。

解消するための取り組みとして、2030年を目途に国連で採択された、SDGs(エスディージーズ:持続可能な開発目標 )がある。SDGsには17の目標が設定されており、その中には「ジェンダー平等を実現しよう」も含まれている。また、国主導で進められているものとして、ポジティブアクションや男性が取得しやすい育児休業の推進がある。

SDGsとジェンダー平等について、さらに詳しく知りたい人は以下の記事もぜひ読んでほしい。

>>SDGs達成に向けてできること|身近な例を17の目標別に紹介

>>SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」国内外の取り組み事例とは