LEEイニシアティブは、困窮するレストランや農家にとって希望の光となっている。

エドワード・リーとリンジー・オフカセック 写真提供:Neon Bites

シェフのエドワード・リーと元レストラン経営者のリンジー・オフカセックは、常に悩みの尽きないレストラン業界の問題に取り組もうと、2018年に「LEEイニシアティブ(LEEはLet’s Empower Employment(働く人を支えよう)の略)」を立ち上げた。彼らのミッションは、レストラン業界で働く人々の暮らしに真の変化をもたらし、広く地域社会に貢献し、周囲にも刺激を与えるプログラムを作り上げることだ。

新型コロナウイルス感染症が広がりはじめると、同団体はレストラン業界の人々の暮らしを守ることに改めて力を集中させるとともに、米国内の他のレストランにも、スタッフのために同様の取り組みをするよう働きかけた。コロナ禍が想定よりはるかに長引いてくると、地元の個人農家にもサポートの対象を広げた。

シカゴ郊外でプレーリー・グラス・カフェを経営するサラ・ステグナーは、ジェームズ・ビアード賞を2度受賞した経験を持つ。彼女のようなシェフも、LEEイニシアティブはレストランや農家を経営破綻から守る一助となると認めている。ステグナーは「Restaurant Reboot Relief Program(レストラン復活支援プログラム)」の対象者に選ばれ、感激したという。このプログラムによりステグナーは、LEEイニシアティブの掛け取引の仕組みのもと、4つの地元農家から無料で原材料を提供してもらえる。「経済的に本当に助けられました。また、これまで取引をしたことがなかった農家とも出会い、新たな関係を築くことができました」とステグナー。「コロナ禍でもその先も、農家の皆さんを支え、彼らの暮らしを守っていきたいです」

プレーリー・グラス・カフェでも、医者などの医療従事者のためのプログラムを立ち上げた。主に地元の農家から買った作物を使い、毎週120食を地元の病院に提供するというものだ。LEEイニシアティブはそのコストを一部負担し、同カフェがより長い期間にわたって食事を提供できるようにした。

LEEイニシアティブから同カフェへの資金援助の第2弾では、解雇や休業を言い渡されたレストランスタッフや、ごくわずかな食事しか得られない人々の食事をサポートするための資金も支給された。おかげでステグナーのカフェは、レストラン業界の人々を空腹から救うことに加え、女性用の保護施設2カ所にも毎週食事を提供することができた。

LEEイニシアティブには感謝してもしきれないとステグナーは語る。「資金援助がなければ、この1年は店が立ち行かなくなっていたと思います。シンプルな話です。損失を出しながら何カ月も持ちこたえることはできません」とステグナー。「資金援助の話を聞いた時、もしかすると何とかなるかもしれないと、はじめて希望が持てました。おかげで、レストランで働く日々にやりがいと尊厳を持てましたし、人を雇うこともできました。コロナ感染の不安が重くのしかかり、経済的にも大変な状況の中でも、LEEイニシアティブのおかげで、大きなやりがいを感じながら、身近な地域社会に変化をもたらしていることに意識を向けることができました。」

ステグナーには、飲食業界で働く女性の活躍を応援したいという夢もあった。そしてその夢にも、「Abundance Setting」という団体から第三の支援の手が差し伸べられた。ビバリー・キムが新たに立ち上げた同NPOは、飲食業界で働く母親たちを支える活動をしている。彼女が同団体と始めた取り組みでは、対象者は3カ月の間、主に地元の女性農家から週3食を無料で受け取れるほか、地元の女性シェフによる指導を受けられる。初回の食事補助では、LEEイニシアティブが資金援助を行った。

ステグナーのようなシェフにとってLEEイニシアティブは、この困難な状況下でまさに求めていたものだった。

 

この記事は、Food & Wineよりステーシー・バリスが執筆し、Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはすべてlegal@industrydive.comまでお願いいたします。