2021年1月下旬、オランダ・アムステルダム郊外の2万㎡ものネギ畑で幻想的な光の技術「GROW」が披露された。

波のように揺れているのは、太陽光発電で生み出した電気を利用して輝く赤と青のLED。温室や垂直農法で使われているこの特殊LEDは作物の成長を促進するが、従来の畑でも適用できると研究者たちは考えている。

その可能性を広げようと、同国出身の芸術家ダーン・ローズガールデ氏は、世界の大学ランキング・農学分野で1位を誇る同国ワーゲニンゲン大学や銀行大手のラボバンクなどと共同して、2年以上かけて本プロジェクトに取り組んだ。

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ライトは日没後に数時間点灯する。光害にならないようエリアを特定し、水平に光が放たれる。ここには紫外線も混ぜられている。紫外線は作物の免疫を強化するため農薬の使用を最大50%削減できるという。この特殊LEDと紫外線のコンビネーションは調整可能で、あらゆる種類の作物に利用できる。

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Photos by Ruben Hamelink and Daan Roosegaarde

化学肥料や農薬の使用、土壌や水の汚染、水の大量使用、生物への影響など、農業の分野でも環境問題は山積みだ。すでにサステナブルな農業への取り組みは進められているが、農業の重要性にもっと気づいてほしい、そして農業の美しさを改めて見つめようではないかと、ローズガールデ氏は、アートの視点を入れた新しいサステナブルな方法を提案したのだ。「GROW」は、これから世界各地で展示していきたいという。

「GROWは、光とサステナビリティの美しさを表現している夢の風景です。ただし、これはユートピアの象徴ではなくプロトピア(今日よりも、いくらかでも良い状況)であり、環境問題をステップバイステップで解決していくのです」(ローズガールデ氏)。

農地の風景が、将来変わるかもしれない。