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合計15億人が暮らす400を超える世界の大都市が、寿命を縮める大気汚染や水供給の減少、命を奪う熱波、自然災害、気候変動など、いくつもの極めて高いリスクにさらされている。Copyright:AFP マンデル・ンガン

環境災害に対して最も脆弱な世界100都市のうち、1都市を除くすべてがアジアの都市で、さらにその5分の4がインドか中国にある ――そんなリスク評価の結果が5月に発表された。

報告によれば、合計15億人が暮らす400を超える世界の大都市が、寿命を縮める大気汚染や水供給の減少、命を奪う熱波、自然災害、気候変動など、いくつもの「高い」リスク、あるいは「極度の」リスクにさらされている。

ランキングのトップは、インドネシアの首都ジャカルタだ。地盤沈下の問題を抱えているこの大都市は、大気汚染と洪水、熱波にも苦しめられており、状況の悪化が懸念されている。

一方、最もリスクをはらむ世界20都市のうち13都市は、インドにある。この国は世界のどこよりも困難な未来に直面する可能性がある。

英国の経営リスク分析会社 ベリスク・メープルクロフトがまとめた、576都市の環境・気候リスクに関するグローバル・インデックスで、デリーは2位につけた。インドの都市では、チェンナイ(3位)、アグラ(6位)、カンプール(10位)、ジャイプール(22位)、ラクナウ(24位)がこれに続く。1250万人の住民を抱えるムンバイは、27位だった。

大気汚染は、毎年インドだけで100万人、世界全体では700万人以上を早期死亡(premature death)に追いやっている。この指標に限れば、人口100万人以上の世界の都市で最も空気が汚れている20の都市は、デリーを筆頭にすべてインドにある。

この大気汚染の評価では、PM2.5の影響に比重が置かれた。石炭などの化石燃料の燃焼によって大量に放出され、健康を害する微細粒子だ。

中国の中産階級

アジア以外の地域では、すべての脅威カテゴリーの合計が「高リスク」と評価された都市の割合が高いのは、中東と北アフリカだ。だが、アジア以外の都市で唯一トップ100に入ったのは、南米のリマだった。

「都市には世界の人口の半分以上が暮らしており、経済活動の中心となっています。しかし、大気汚染や水不足、自然災害の影響で、すでに深刻な緊張状態にあります」と、同報告書の筆頭著者であるウィル・ニコルズは語った。

「人口増加によって圧力が高まり、気候変動によって大気汚染や異常気象がますます大きな脅威となるにつれて、多くのアジア諸国の都市部は住みにくさが増していくでしょう。国家経済の発展を支える都市の役割が脅かされているのです」

豊かさではインドにまさる中国も、同じく手に負えないほどの環境問題に直面している。

報告では、水質汚染に世界で最も悩まされている50都市のうち35都市、また水ストレスに直面している上位15都市のうち2都市を除くすべてが、中国の都市であると指摘している。

それでも最終的には、中国の政治体制と一歩先を行く発展段階が有利に働くのではないかと、ニコルズは言う。

「中国では、新たに生まれた中産階級のあいだで澄んだ空気ときれいな水を求める声が高まっていて、それが政府の目標に反映されています

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最大の被害者、アフリカ

「中国のトップダウンの統治構造、そして排出目標を達成するためなら突然の工場閉鎖などの措置も辞さない姿勢は、こうしたリスクを軽減するチャンスをさらに高めるでしょう」

インドの統治体制はもっと弱く、そのうえ非公式経済の規模が大きいため、都市レベルで環境と気候の問題に取り組むことがはるかに難しい、と彼は付け足した。

地球温暖化とその影響に関しては、注目の対象がサハラ以南のアフリカへと一変する。地球上で最も気候に脆弱な45都市のうち40都市が、この地域に存在する。

地球全体の気温上昇に最も責任のない大陸が、最も大きな被害を受けることになる。この地域では、干ばつや熱波、暴風雨、洪水が悪化しているというだけでなく、そうした事態に対処するための備えが全くないのだ。

「アフリカで最も人口が多いラゴスとキンシャサの2都市は、最もリスクが高い都市の部類に入る」と報告書では述べている。

特に脆弱な都市として、モンロビア(アフリカにあるリベリア共和国の首都)、ブラザビル(コンゴ共和国の首都)、フリータウン(シエラレオネ共和国の首都)、キガリ(ルワンダの首都)、アビジャン(コートジボワールの都市)、モンバサ(アフリカのケニア共和国海岸州のモンバサ島にある都市)などの名前が他に挙がっている。

気候指数は、極端な事象による脅威、人間の脆弱性、そして各国の適応能力を組み合わせたものである。

 

 

※オリジナル記事99 of 100 cities most at risk environmentally in AsiaDigital Journalに掲載されたものです。

この記事は、Digital JournalよりAFPで執筆し、Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはすべてlegal@industrydive.comまでお願いいたします。