日常生活の中で、「エシカル消費」という言葉を耳にしたことはないだろうか。簡単にいえば、消費者である私たちも、消費行動に責任をもつというのがエシカル消費の考え方だ。

なぜエシカル消費が必要なのか、今回は、エシカル消費の概要と事例について取り上げる。

エシカル消費とは

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エシカル(Ethical)消費とは、倫理的消費ともいわれる。人、社会、環境、地域、動物福祉に貢献する消費のあり方で、社会的課題や課題解決に取り組む事業者を応援する消費の選択だ。安心・安全、品質、価格による選択に加えて、商品を選択するときの第4の尺度といわれる。

近年、エシカル消費が意識されるようになったのは、手に取った「商品の裏側」、つまり、普段目にすることのない生産や廃棄のあり方を意識し、消費行動を通して社会的課題に取り組もうという考えが広まったからだ。世界中でつくられた商品やサービスを利用する今、「商品の裏側」を詳しく知ることは難しいのではないだろうか。

エシカル消費と関連が深いのが、社会の持続可能性だ。持続可能な社会を目指す国際的目標のSDGs(エスディージーズ:持続可能な開発目標)にもつながっている。

エシカル消費と特に関連が深いのが、SDGsの17の目標のうちの目標12「つくる責任 つかう責任」である。目標12では、持続可能な生産、持続可能な消費形態の確保が盛り込まれている。詳しい内容は以下の記事で紹介している。

>>13億トンの食品ロス。SDGs12「つくる責任つかう責任」の現状と解決策

エシカル消費の目的

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エシカル消費は、具体的に何を目的にしているのか。4つの観点から説明する。

人・社会への配慮

身の回りの商品は、原材料の生産・加工から実際に消費者の手に届くまでにいくつかの過程があり、その過程には多くの人が携わっている。

ここで問題となるのは、原材料の生産の多くを担う開発途上国の現状だ。

消費者が少しでも安い商品を手に入れたい、企業がコストを落として商品を提供したいという考えが優位になるほど、発展途上国の働き手を苦しめる。

原材料の生産者の多くが十分な賃金を手に入れられず、貧困の加速を助長するためだ。

消費者には、人や社会への配慮がなされた商品を選ぶ権利がある。公正な取引で生産された商品を選ぶ、困っている人たちの生活を支援する取り組みを行う企業の商品を購入するなど、人や社会へ配慮することがエシカル消費の目的のひとつだ。

地域への配慮

日本では、多様な地形や気候を生かした特産物が作られ、地域社会を育んできた。しかし、インターネットの登場で、人々が自由にものを購入できるようになり、従来の地域社会が崩れてきている。

地域を応援し活性化させる地域振興のためには、地元を応援し、地元の商品を購入することも重要だ。地域を活性化させるという、地域への配慮もエシカル消費の目的のひとつである。

環境への配慮

私たちの生活が豊かになることと引き換えに、「大量生産」「大量消費」「大量廃棄」の課題を抱えている。これらの課題は、地球温暖化、海洋汚染、生態系破壊、異常気象、などの地球全体の環境問題を引き起こしている。

環境というものは、私たちの生活とは切り離せないものだ。多種多様な生物との共存、エネルギー資源、食料など、環境は私たちの生活に深く根付いている。

大量生産、大量消費、大量廃棄の問題から目を背けず、環境にやさしい商品を選択する、環境に負荷のかからない消費をする、という環境への配慮もエシカル消費の目的のひとつだ。

動物福祉

畜産動物が食肉になるまでにどのような過程を進んでいるのか、関心をもつ人は少ないのではないだろうか。

消費者が日常的に安い食肉を求めるようになったことから、生産者がコストを引き下げるために効率を最優先にする生産が長らく行われてきた。

家畜は、効率最優先で、狭い場所で飼育されていることもある。家畜以外にも、昨今減りつつあるが、研究などのために実験動物が使われているケースもあるようだ。

動物福祉(アニマル・ウェルフェア)は、動物の苦痛を少しでも軽減するために生まれた。人が動物に対して与える苦しみやストレスを最小限に抑えようとする考え方だ。動物愛護とは異なり、人に対する動物の利用を認めつつも、動物の感じる苦痛に配慮しようというものである。

動物福祉の広がりにより、実験動物は置き換え、数の削減、苦痛をなくす3R、畜産動物では欧米を中心に行動を大きく制限せず苦しまない方法の研究や導入が進んでいる。

動物福祉を考えた取り組みを行っている生産者や加工者から購入することも、エシカル消費の目的のひとつだ。

エシカル消費の事例

エシカル消費とは何か、その目的とともに紹介してきた。それでは、消費者はどのような消費を心がければ良いのだろうか。最後に、エシカル消費の事例を紹介する。

認証ラベル・マークのついた商品を購入

まず、エシカル消費を意識しやすいのが、認証ラベルや認証マークだ。たとえば、以下のようなものがある。

・エコマーク:生産から廃棄まで環境負荷が少なく環境保全に役立つ商品

・FSC認証:持続可能な森林から生産される木材と製品

・MSC認証:水産資源や環境に配慮して行われる漁業の水産物

・国際フェアトレード認証:生産者の自立や環境保護のため適正な値段で取引された商品

・GOTS:コットンや麻などオーガニック原料から、環境や社会に配慮して作られた繊維商品

・RSPO認証:熱帯林の環境と生物多様性、生産者に配慮した商品

いずれも、認証ラベルや認証マークは、第三者機関により認められた一定の基準を満たしたものを指す。商品パッケージや商品ラベルなどで確認できるので、商品購入時には、認証ラベルやマークがないか意識してみると良い。

フェアトレード商品を購入

フェアトレードとは、生産者から適正な値段で購入することだ。

立場が弱く低賃金で働かざるを得なかった開発途上国の生産者から継続して適正な価格で取引を行うことで、開発途上国の労働者の経済状況の向上や自立を図る取り組みである。

フェアトレード商品かどうかは、国際フェアトレード認証が行われているか、フェアトレード商品であることが公表されているかで判断可能だ。世界中の多くの人が十分な暮らしができるようにするためにも、できるだけフェアトレード商品を選択すると良い。

エシカルファッションをする

エシカルファッションに切り替えたり、エシカルファッションを取り入れたりする方法もある。エシカルファッションとは、環境に配慮したファッションのことだ。

オーガニックコットンが使われた衣服、リサイクル素材でできた衣服、などがエシカルファッションに分類される。

前述したGOTSのような認証マークも参考になるので、購入時に、認証マークがついていないか、エシカルファッションといえる取り組みを行っているかチェックしてみると良い。

日々の生活でちょっとした工夫を

日常の、無駄に消費しないという心がけもエシカル消費につながる。たとえば、以下のような行動を意識してみると良いだろう。

・ペットボトルや缶を購入するのではなくマイボトルを持ち歩く

・使い捨てプラスチックをできるだけ使わない

・リユース、リデュース、リサイクルの循環型の消費を心がける

これらに合わせて、会社全体でエシカル消費につながるような活動、たとえば環境保全活動やごみを減らす活動などを積極的に行っている会社の商品を購入することもエシカル消費といえる。

商品自体だけでなく、商品を販売する企業の取り組みにも目を向けてみると良いだろう。

協和キリン株式会社では、社会的利益と企業利益のどちらも実現させる、持続可能な社会に向けてCSV経営を推進している。

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まとめ

エシカル消費は、人や社会、環境、地域、動物福祉に配慮した消費をいう。最終的に商品やサービスを消費する消費者の選択肢として注目されるようになってきた。

消費者ひとりひとりのエシカル消費への意識が、世界や企業の生産物にも良い影響を与えるので、商品選択の際には、常に意識することが重要である。