私たちが口にする食料の3分の1は、花粉を運ぶハチなどの力を借りて作られる。それなのに、ハチの数は減りつつある。なぜそれを心配すべきなのか、そしてハチを守るために何ができるのかを、以下にまとめた。

bee on sunflower
アラン・シャピロ/Stocksy

 

私たちが口にする食料の3分の1は、花粉を運ぶハチなど の力を借りて作られるといわれている。それなのに、ハチの数は減りつつある。だれにでもできるいちばん簡単なことは、もっと多くの場所にもっとたくさん花を植えることだが、研究者のハチを守る活動に協力することもできる。どういうことか、説明しよう。

エレイン・エバンズ博士の仕事を知っている人は、みな必ず博士に「ハチは元気ですか?」とたずねている。博士は米ミネソタ大学のハチ研究室の公開講座担当教員で、また研究者でもある彼女の仕事は、授粉者であるハチを守ることだけではない。すぐに行動を起こすよう一般の人々に働きかけ、協力してもらうことも仕事なのだ。データによれば、マルハナバチの3分の1の種で個体数が減っている。ミツバチの数も減りつつあり、昨年、米国の養蜂家が育てているコロニー(ハチの群れ)の44%が、気候変動、生息地の消失、感染性の病原体のために死んでしまったという。これは2010年以降で2番目に高い死亡率だ。

こんな中、良いニュースもある。エバンズによれば、写真を撮って共有するだけで、だれでもハチを守る活動に参加できるという。市民科学プログラムと呼ばれるクラウドソーシングの取り組みを通して、ボランティアが身近な場所で集めたデータを世界中の研究者と共有する。「研究者が自分で観察できるのは、狭い地域に限られます。だから一般市民に写真を撮ったり、ハチを数えたりしてもらうことで、絶滅の危機にあるハチの貴重な情報が得られるのです」とエバンズは説明する。そしてこうしたプログラムへの参加はますます盛んになってきている。「マルハナバチ・ウオッチ(下記参照)」に報告されたハチの目撃情報は、この5年で年間4,000件から2万件に増えた。ハチを守るためにできることを、以下にいくつかお教えしよう(注:いずれも北米での活動)。

身近なマルハナバチの数調べ

7月の所定の期間に目撃したマルハナバチの写真や数を、「身近なマルハナバチの数調べ」のオンライン調査またはアプリで報告できる。このプロジェクトからのデータは、重要な研究に用いられる。最近、Insect Conservation and Diversity誌に掲載された、絶滅の危機にある北米のマルハナバチ2種の生息地の条件に関する研究がその例だ。

ミツバチの花粉・花蜜マップ「BeeWise」

世界中の花をつける植物の75%以上が、花粉を運ぶ生き物の力を借りて受粉するといわれている。そしてミツバチの花粉・花蜜マップは、まさにハチが花蜜や花粉を集めているところを見つける活動だ。ハチの種類と花の種類の両方が分かる写真の投稿は、ハチが好むエサ集めの条件について詳しく知るのに役立つだろうと、科学者たちは期待している。

マルハナバチ・ウオッチ

マルハナバチがいないか常に気を配り、見逃さずに記録して、北米のマルハナバチの調査と保全に協力しよう。「運が良ければ、あなたの協力によって、希少種の生き残りが見つかるかもしれません。そうすれば、絶滅する前に何かできるかもしれないのです」とリッチ・ハットフィールドは言う。彼は、無脊椎動物の保全に取り組む国際的な非営利団体「ザーシーズ・ソサエティー」を通してマルハナバチ・ウオッチプログラムで働くベテランの保全生物学者だ。

ハチの情報パートナーシップ

非営利団体「ハチの情報パートナーシップ」は、エサの食べかたや、気温、病気などのさまざまな要素が、ハチの群れの健康にどのように影響するのかについて、詳しい情報を収集して共有するよう養蜂家に呼びかけている。こうした情報を使えば、みんなの巣箱を健康な状態に保てる。例えばこの団体によるダニの調査は、米国全土のハチの群れの生存を脅かすミツバチヘギイタダニの寄生について、科学者が理解を深めるのに役立っている。

 

この記事は、EatingWellで執筆し、Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはすべてlegal@industrydive.comまでお願いいたします。