※編集部註:本記事の内容は配信日時点(2021年4月12日)のものとなります。
イングランドのサッカー上位4部のリーグで史上初となる女性監督を起用して、新天地を切り開くことになるかもしれない。そう語るのは、イングランド・フットボールリーグ2(EFL2、実質4部)のクラブ、フォレストグリーン・ローバーズのデール・ビンス会長だ。
ビンス氏は、環境にやさしいエネルギーを供給する会社「エコトリシティ」の創業者で、2010年からフォレストグリーンの会長を務めている。彼が、マーク・クーパー前監督を解任したのが4月上旬。それ以降、その監督職に100人ほどの応募があったという。ビンス氏は2週間のうちに面接を行う予定だ。フォレストグリーンは、世界初の全て木造のスタジアムの構想や、素材の一部にコーヒーかすを使用するユニフォームの導入など、新しいことにチャレンジするので有名なクラブだ。ビンス氏は「どんなこともあり得る」と語っており、候補者には女性も含まれているそうだ。
「新しい起用方針をとり入れようと思っています。古い殻を破ることになるかもしれません。これまで監督に起用されなかったような人を選ぶ可能性もあります」。ビンス氏はBBCにそう語った。
女性監督の起用をほのめかしているのかと問われ、ビンス氏はこう答えた。「ほのめかすつもりはありませんが、可能性はあります。男子サッカー界に女性監督はいません。でも同じように、BAME(黒人、アジア人、少数民族)の監督もいないのです。私たちには、監督の起用について何の先入観もないし、従来のやり方を続けるつもりもありません。だから、どんなことでも可能です」
フォレストグリーンが4連敗を喫し、リーグ6位に転落したのを受けて、クーパー前監督が解任されたのは4月11日。シーズン終了までは、18歳未満のユースチーム(U-18)のジミー・ボール監督が臨時で指揮を執る。2019年にフォレストグリーンのアカデミー(プロチームの下部組織)の監督に就任し、EFLのアカデミーでは初の女性監督となったハンナ・ディングレー氏は、まだ応募していないようだ。今の仕事に満足しているというのがその理由だが、応募すれば候補として検討されるだろう。
「応募者の顔ぶれを見て、とてもわくわくしています」とビンス氏は言う。「私たちは、もっと新しい、もっと現代的なサッカーを求めています。我がクラブのサッカー哲学にピッタリはまる人を選ぶまでには、少し時間がかかるでしょう」
スコットランドでは2014年にローランドリーグ(地域リーグ)のスターリング大学チームでシェリー・カー氏が監督を務め、フランスのリーグドゥ(2部リーグ)ではコリンヌ・ディアクル氏がクレルモン・フットで3年間指揮を執ったという先例があるにもかかわらず、イングランドの上位4部リーグの92クラブでは、女性が監督になったことは一度もない。チェルシーの女子チームを率いるエマ・ヘイズ監督は、2月にEFL1(実質3部)のAFCウィンブルドンが監督不在になった際に名前が挙がったが、EFLでの仕事が女子サッカーからの出世だという考えは「侮辱的」だと述べた。
「選手の性別は違いますが、女子サッカーは男子サッカーとまったく同じスポーツです。監督に求められる資質は、男子チームの監督と何ら変わりありません。サッカー界はそのことに気づき、認める必要があります」とヘイズ氏は言う。
「どうして女子サッカーが格下だと考えるのか、私にはまったく理解できません。ワールドカップで優勝した選手や、勝利をあげた選手、オリンピックや欧州選手権で各国代表としてプレーした選手がいるチームの監督をすることが、低く見られるのが理解できないのです」
この記事は、The Guardianのエド・アーロンズとベン・フィッシャーが執筆し、Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはすべてlegal@industrydive.comまでお願いいたします。
※編集部註:本記事の内容は配信日時点(2021年4月12日)のものとなります。