国際目標であるSDGs(エスディージーズ:持続可能な開発目標 )には、全部で17の目標がある。そのうちのひとつ、SDGs10は不平等をなくすことに関する目標だ。この記事では、SDGs 10の概要と企業の取り組み、個人でできることについて紹介する。

SDGs10「国内および国家間の格差を是正する」とは?

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SDGs(エスディージーズ:持続可能な開発目標 )の17の目標のうち、SDGsの目標10は「人や国の不平等をなくそう」という目標である。国内および国家間の格差を是正することを目標に掲げたものだ。まずは、具体的な内容と、不平等の現状について押さえておこう。

エンパワメントを図ること

SDGsにおけるエンパワメントを図るとは、個々人が自立した生活が送れるために支援することだ。SDGsの目標10は、性別、人種、民族に関わらず、最低所得者層のエンパワメントを図ることを大きな目標としている。

所得に課題を抱えている人々がエンパワメントの推進によって平等に近づくため。また、すべての人の経済的包摂を推進するためには、健全な政策の採用と、それを求める行動が必要だ。

SDGs10では、最低所得者層のエンパワメントとすべての人の経済的包摂のため、以下のような細かな目標が設定されている。

・低所得者層の所得成長率を上げ多くの人がある程度の所得を得られるようにする

・すべての人の能力を高め、社会、経済、政治との関わりを促す

・機会が均等に得られるようにし、成果の不平等をなくしていく

・政策で平等の拡大を目指す

・金融市場と金融機関の規制、監視を強化する

・平等な国際経済、金融制度のために途上国の参加と発言力を拡大させる

・安全な移住を促進して人々の移動性を高める

・必要性が高い地域に対し開発援助と外国直接投資を促す

・移住労働者の送金コストを低くする

要約すると、すべての人が平等に所得を得られる機会を得られるようにし、これ以上格差が広がらないよう金融市場などを監視して、途上国への支援を強化するということだ。

国内、国家間で起きている不平等の現状

なぜSDGs10が必要なのか、国内と国外で起きている不平等の現状を整理してみよう。

日本国内の現状

まず、国内で起きている格差のひとつが、地方と都市部の格差だ。たとえば、地方は都市部と比べて質の高い医療を得られない傾向にある。

近年では、地方でも質の高い医療を受けられるようにするため、また地域間での連携を図るため、オンライン診療やICTを活用した情報の連携が進められるようになってきた。しかし、いまだ地方と都市部の格差は存在している。

ほかにも、国内に存在するのが機会の不平等だ。機会の平等とは、就業活動や経済活動を実施するための機会のことだ。障害を理由に健常者のような機会  を得られないなどの格差が存在するのが現状である。

国外の現状

今現在も、世界の高所得者層と低所得者層の格差は拡大している。世界の資産のほぼ半分は、人口のわずか1%が所有している。これは、世界の所得下位半分の人たちの総資産約65倍にも相当する額だ。所得面で平等と思える人は少ないだろう。

ほかにも、機会の不平等も起きている。機会の不平等とは、民族や性的マイノリティー、難民などを理由に、さまざまな機会や資格、権利が与えられないことだ。

機会の不平等は、健康や教育面の向上を妨げ、まともに生活をするために必要な人の能力が育つ機会を損なわせる。多くの国で、機会の不平等を原因として、若年層の失業や貧困が深刻化しているのが現状だ。

※出典:ゴール10:人や国の不平等をなくそう|国際開発センターSDGs室

SDGs10の達成に取り組む企業事例

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SDGsの目標10の背景にある問題を解決するには、どのような行動が必要なのだろう。ここでは、達成に向けた企業の取り組みをいくつか紹介する。

アート引越センター(アートコーポレーション株式会社)

アートコーポレーション株式会社では、SDGs10に関連して、業界では珍しい定休日の設定や児童発達支援教室の活動を実施している。

定休日設定と働きやすい環境の構築

アートコーポレーション株式会社は、繁忙期を除き、週のうち1日を定休日とする制度を導入した。定休日の導入は、引っ越し業界においては初の取り組みで、労働環境の改善を図るために導入された制度である。

なお、同社は2020年度に続き、2021年度も「健康経営優良法人2021」に選定されている。

アートコーポレーション株式会社が従業員の健康を意識した取り組みを実施し、働きやすい職場環境のために動いていることがうかがえる結果だ。

児童発達支援教室(アートチャイルドケア SED SCHOOL)

同グループ内では、発達に気がかりな点がある就業前の児童を対象に、アートチャイルドケア SED SCHOOLという支援も展開している。保育士、療法士、福祉士が在籍する施設で、個々を育む療育プログラムを実施するものだ。

成学社

成学社は、日本での「かいせい保育園」学習支援のノウハウや運用方式を活かして、ベトナムダナン市に「ダナンかいせい幼稚園」を設立した。これは、ベトナムでの日本式保育の実践を推進するものだ。

すべての現地スタッフに研修型朝礼というオンライン教育を実施することで、名ばかりではない、質の高い教育を現地ベトナムに届けられるようにしている。これは、SDGs10の不平等をなくす取り組みのひとつである「機会の平等」につながる取り組みだ。

ベトナムの子どもたちの発達段階に寄り添い、養育、思いやりの心、教育が調和した環境づくりを目指している。

協和キリン

すべての人が平等であるためには、国籍や性別などあらゆることを理由に不当な待遇を受けない社会にしていかなければならない。協和キリングループが取り組んでいるのが、人権啓発活動だ。

協和キリングループでは、キリングループ人権方針のもと、その考えを定着させるためにグループ全従業員を対象に「人権啓発研修」を実施している。人権をテーマにした内容で、階層別研修として、新任経営職および新入社員を対象に毎年実施しているものだ。

また、同グループでは、人権課題でもあるハラスメントフリーを目指した環境整備と風土改善にも努めている。

具体的には、ハラスメント撲滅月間におけるトップからのメッセージの発信、全従業員への啓発研修といったものだ。ハラスメント相談窓口や内部通報制度も設置して、ハラスメントが起こった際に適切に対処できるような環境も整備している。

協和キリンのSDGs達成に向けた取り組みを含めたCSV経営についてはこちら

国内、および国家間の格差を是正するために私たちにできること

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最後に、SDGs10の達成に向けて、私たち個人でも取り組めることを取り上げる。

差別を見つけたら声を上げよう

職場や学校をはじめ、周りを見ると身近なところで差別が起きているかもしれない。身近な差別に気づいたら、声を上げ、その差別に対して注意する勇気を持とう。

性別や国籍、あるいは、社会的背景や性的指向、身体的能力に関係なく、人はみな平等であり、平等に生きる権利をもっている。

不平等と闘おう

職場の全員が必要な医療サービスを受けられているかなど、まずは労働者である自分自身の権利を知ろう。

また、社内の権利や制度だけでなく、労働にまつわる権利についても理解し、不平等があれば改善してもらえるよう行動していくことが大切だ。

開発途上国へ募金・寄付を行う

国内にいて、極端な格差を感じる機会は少ないかもしれない。しかし、国内から一歩出て、国外に出ると、特に先進国と途上国の間で大きな格差があることがわかる。

このような国家間の格差是正のために私たちがすぐに実践できることは、開発途上国への募金や寄付だ。

国際的に支援の届きにくい人たちへ優先的に支援の手が届くよう、活動を行っている団体に募金や寄付をすることで、間接的にでも途上国の不平等を是正することにつながる。

まとめ

SDGs10は、人や国の不平等を世界からなくすこと目指したSDGsのゴールのひとつである。世界はもちろん、国家間、国内においてもさまざまな不平等が存在しているのが現状だ。SDGs10達成のためにも、まずはSDGs10を意識して行動することからはじめたい。