パンデミックのさなかにクリスマスの本当の意味を示して見せた、ベルリン最大のビアホールに乾杯!
CREDIT: SEAN GALLUP/GETTY新型コロナウイルス感染爆発の第2波に見舞われ、4週間の半封鎖期間のさなかのドイツ・ベルリンの街。マスクを着けた人々が休業中のビアパブの横を通り過ぎる(2020年11月20日)。
写真提供:ショーン・ギャラップ/GETTY
新型コロナの感染拡大を抑えるため、11月初旬にドイツ政府がレストランやバーを閉鎖すると、レストランは再びパンデミックによって身動きがとれなくなった。なんと言ってもクリスマスシーズンは、ドイツが毎年1年で最も活気づく時期だ。
そんな中、ベルリンのあるレストランが、クリスマスの精神を別の形で伝えることを決めた。首都最大のレストランであるホフブロイ・ベルリンは、にぎわう夜には3000人を収容できるバイエルン風のビアホールが客であふれかえる。しかし今は、150人のホームレス受け入れを軸にしていると、AP通信が報じた。
「いつもクリスマスの時期には、パーティーをするたくさんの団体客の来店があり、ポークナックル(豚の膝肉)や半身の鴨肉、ガチョウ肉を出しています。でも今年は違います……宅配サービスを続けていますが、売り上げはわずかなものです」とホフブロイの支配人ビョルン・シュヴァルツは語った。
レストランとしての開店を禁じる規制が設けられる中、同店は市や福祉団体と協力し、広く開放的な店内の空間を活用してホームレスを支援しようとしている。市内では3万4000人のホームレスがすでに保護施設に入っているが、今も路上に残された人が2000人から1万2000人いると推定されている。
世界各地のユニークなクリスマスのお祝い
世界各地のとてもユニークなクリスマスのお祝い
「よくある炊き出しの食事とは違うものを出しますよ。磁器のお皿に本格的な料理をのせ、いろいろな副菜を添えて。風味豊かな、クリスマスらしい料理を提供するつもりです」とシュヴァルツは付け足した。
43歳でラトビア出身のカスパルス・ブレイダクスは、仕事を探しにベルリンに来て、パスポートを盗まれたあげくホームレスになってしまった。レストランは、そんな苦しい時に喜びを与えてくれたという。店の場所は、駅にいるほかのホームレス仲間から聞いた。温かいスープを期待して行ってみると、なんと食事を選べた。テューリンゲン風ブラートヴルスト(焼きソーセージ)にマッシュポテトとザワークラウトを添えたものか、ベジタリアンシチューにポテトと野菜がついたもの。おまけに、バニラソースがかかったリンゴのシュトルーデル(アップルパイのような焼き菓子)のデザートまであった。
アレクサンダー広場の一角にあるデパートのそばで、気温が氷点下となる中、暖を取ろうと必死だった前の晩とは大違いだった。
このアイデアを出したのは、地域の保護施設でボランティア活動をしているレストランの従業員だった。シュヴァルツはすぐにその提案が気に入った。それなら店で働くみんなの仕事もできるし、いくらかの収入も入る。
レストランでは食事の提供以外にも、ホームレスがトイレを洗面に使えるようにし、必要に応じて衣類の提供やカウンセリングも行っている。いずれも、新型コロナに関する現行の制限の範囲内でできることをしているという。ホフブロイ・ベルリンの寛大な精神はこれだけにとどまらない。フェイスブックの同店のページでは、福祉団体のゲーベーヴォー(GEBEWO-Soziale Dienste-Berlin)とともに、ホームレスに実用的なクリスマスギフトを贈るための寄付を呼びかけ、2020年12月22日と23日の午後12時から午後6時の間、お菓子や暖かい靴下、保温性のある下着、手袋、衛生用品などの品をレストランで受け付けた。
この記事は、Travel & Leisureのレイチェル・チャンが執筆し、Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはすべてlegal@industrydive.comまでお願いいたします。