4年間の活動を経て、スコットランドでは、世界で初めて誰もが無料で生理用品を入手できるようになった。この活動は、生理をめぐる公の議論を根本的に変えた。

The Period Products (Free Provision) (Scotland) Act(スコットランド生理用品無料提供法)」の最終決議案が、20201124日火曜夕刻、全会一致で可決された。この法律により、地方自治体は、ノース・エアシャーなどの地域で行われている取り組みにならって、必要な人すべてに生理用品を提供する法的義務を負うことになる。ノース・エアシャーでは、2018年から、公共の建物でタンポンや生理用ナプキンを無料で提供している。

全国的な草の根運動に支えられたこの活動は、スコットランド労働党の保健広報担当モニカ・レノン議員が先頭に立って進めてきたものだ。彼女は、「スコットランドにとって誇るべき日だ」とガーディアンに語った。

レノンは言う。「この法律は、大人の女性や若い女の子、生理があるすべての人の生活を大きく変えるものです。すでに地域レベルではかなり進んでいて、地方自治体を通して、すべての人に尊厳をもって生理と向き合う機会が与えられています」

「公の場で生理について話す時の姿勢に、大きな変化がありました。数年前は、生理について率直に議論するなんてありえませんでした。それが今では、主な議題になっています。スコットランド議会の議員たちは、議論に進んで参加し、更年期や子宮内膜症、私たちが使う生理用品の種類や、それらのサステナビリティについて話し合っています」

period poverty(生理の貧困)」とは、毎月、必要最低限の生理用品を買うのもままならない経済状態のことだ。慈善団体らによると、コロナ禍でその貧困は加速しているという。

草の根活動団体Women for Independence」が先に行った調査によると、約5人に1人の女性が、生理の貧困を経験したことがあり、彼女たちの衛生状況や健康、幸福に深刻な影響を及ぼしていることが分かった。女性は、月に平均13ポンド(約1,900円)、一生では数千ポンドを生理用品に費やすと試算されている。

年間およそ870万ポンド(約12億5,800万円)かかると見込まれる今回の制度は、資産に応じて支給が決まるものではない。スコットランド政府は、当初、すべての人への提供に異議を唱えていた。だが2020年2月、法案の第一段階の審議で方針を変え、すべての人を対象にする野党の案を支持することにした。与党のスコットランド国民党(SNP)では、党内の活動家による圧力が、日に日に強まっていたからだ。レノンに触発されて、労働組合や市民社会団体も広く手を組み、同じく圧力をかけた。

 

法律には、各種学校や大学機関に、生理用品を無料で提供するよう求める文言も盛り込まれる。これは2017年にニコラ・スタージョン首相が表明した方針だが、当時は世界でもまだ前例がなかった。それ以降、スコットランド政府は、低所得世帯に生理用品を無料で配布するアバディーン市の取り組みに資金を提供したり、より多くの公共の場での提供を目指す自治体への支援として400万ポンド(57,800万円)を提供したりしてきた。

政府がそうした取り組みを進める中、多くの個人事業主――レストランやパブ、サッカー・クラブまでが――自主的に生理用品を提供し始めた。スコットランドでは、今では、女性用トイレに入れば、洗面台の横に無料の生理用品やお金を入れる箱が用意されていることが当たり前になりつつある。

 

レノンは、世界中の活動家たちが、スコットランドの成り行きを注意深く見守ってきたと言う。「これは私たちが、世界的なパンデミックの中でも、女性の権利を重要な政治課題として取り上げることができる、という大切なメッセージなのです」

 

この記事は、The Guardianのリビー・ブルックス(スコットランド特派員)が執筆し、Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはすべてlegal@industrydive.comまでお願いいたします。