持続可能な開発目標SDGsの達成に向けて、これまで多彩な取り組みがされてきた。

各企業でもそれぞれ目標達成に取り組んでおり、協和キリンでもCSV経営をとおして人権、職場づくり、環境、消費者課題など多岐に渡る活動を行っている。

協和キリンが行っている、CSV経営によるSDGs目標達成への詳しい取り組み内容はこちら

2020年12月には「SDGsアクションプラン2021」が決定し、国がこれから注力しようとしている事柄が発表されている。

新型コロナウイルスの影響を受けて、前年と変化した部分も多くあるため、この記事では最新の重点事項について解説していく。

「SDGsアクションプラン2021」とは?

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2015年に採択されたSDGsの実施に向け、国内の情勢に合わせて取り組みを進めるため、日本は独自のプランを立てて施策を展開した。

それがSDGsアクションプランである。

そしてこのたび日本政府は、2020年12月の第9回推進本部会合にて「SDGsアクションプラン2021」を決定したのだ。

前年のプラン決定時の国連サミットでは、2030年の目標達成に向けて今後の10年を「行動の10年と」し、取り組みの拡大と加速を求めていた。

その後新型コロナウイルスが発生し、感染拡大による取り組みの遅れが懸念される事態となった。

そのことから今回のプランでは、コロナ対策を踏まえた上での「よりよい復興」を重要視している。

また策定された重点事項においては、新たに感染症対策に関する項目が追加された。

元々のSDGsの誓いとしても、地球上の「誰一人取り残さない」と決められており、日本でも人間の安全保障の理念に基づき、改めて「誰の健康も取り残さない」という強い決意が固められた。

もちろん、それ以外の部分でも温室効果ガス削減やデジタル化、女性の参画などさまざまな取り組みの加速を目指している。

それらの重点次項の詳細については次項で解説する。

アクションプラン2021における4つの重点事項

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それでは、具体的な取り組みの展開として、SDGsアクションプラン2021で打ち出されている4つの重点事項について解説しよう。

1.感染症対策に関する項目

「1.感染症対策と次なる危機への備え」

感染症には、前述した新型コロナウイルス以外にもさまざまなものがあり、国内外問わずいつ・どこで・どのような危機が発生するかは分からない。

そこでまずは治療、ワクチン、診断の開発、製造、普及の包括的な支援と、公平なアクセスの確保を目指す。

特に途上国では、現在も感染症が原因で多くの人々が命を落としている。中でも抵抗力の弱い乳幼児が成人まで生きられる確率はごくわずかだ。

治療方法やワクチンが確立されていても、貧しい国には支援が追いついていない現状があり、早急な対策の拡大が必要である。

未知の危機への備えとしては、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成に向けた取り組みが推進されている。

UHCとは、すべての人が支払い可能な費用で保健医療サービスが受けられるシステムのことで、金銭の問題によって医療を受けられないという事態を招かないために考えられた。

また、国内でのPCR検査や抗原検査など、コロナ対策についても計画的な体制構築を進め、国民の命を守るための取り組みを進める方針である。

そして、感染症の原因となる、栄養、水、衛生など、さまざまな分野を横断した取り組みをとおして、安全な環境の整備を進めていく。

2.より良い復興に向けた成長戦略に関する項目

「2.より良い復興に向けたビジネスとイノベーションを通じた成長戦略」

新型コロナウイルスは健康被害だけではなく、さまざまなビジネスや経済面に多大な影響を与えた。

経済活動を回復させ、いち早く復興させるためには、デジタルトランスフォーメーションの推進が必要である。

誰もがデジタル化の恩恵を受けられるような体制を整え、いわゆる「新たな日常」を定着させる取り組みを急がねばならない。

最近では、デジタルコンテンツやオンラインライブなど、インターネットを介した市場の拡大が注目されている。

さらに、企業経営におけるSDGsの取り込みを促進することで、ESG投資の推進にもつながる。

個人の権利や収入の確保であるディーセントワークのためには、テレワークなどの働き方改革も重要だろう。

そして、誰もがワークライフバランスの実現をとおし、豊かさを実感できる社会を目指す。

バイオ戦略やスマート農林水産業の推進などによっても、持続可能な循環型社会を推進することができ、生産性向上や経済の成長の実現につなげていかねばならない。

3.SDGsを原動力とした地方創生に関する項目

「3.SDGsを原動力とした地方創生、経済と環境の好循環の創出」

2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを目標とするカーボンニュートラル、そして前年に引き続き、新たな海洋プラスチックごみによる汚染を無くす大阪ブルー・オーシャン・ビジョンの実現に向けた取り組みを推進する。

そのためにはまず、世界のグリーン産業を牽引することで、経済と環境の好循環を作り出していく必要がある。

また、海洋、海洋資源の保全を行い、持続可能な形で利用していくためにも、プラスチックごみ対策を推進しなければならない。

2020年からプラスチック製の買い物袋が有料化されたことは記憶にも新しいだろう。

一般的にも海洋保全の意識は高まり、ゴミの排出量も減少はしているものの、依然として海洋汚染は深刻な問題だ。

一人ひとりがより高い意識を持ち、徹底した対応を行うことが求められている。

さらに「SDGs未来都市」をはじめとした、SDGsを原動力とする地方創生の推進を目指し、経済と環境の好循環を目指す。

より詳しい記事はこちらから「SDGs 地方創生」

4.多様性や教育などに関する項目

「4.一人ひとりの可能性の発揮と絆の強化を通じた行動の加速」

より良い社会の実現のためには、すべての人が能力を伸ばし発揮できる環境と、生きがいを感じられる世の中でなければならない。

そこで、あらゆる分野における女性の参画、ダイバーシティ、バリアフリーの推進が不可欠である。

コロナにより学習機会への影響も出ている面も考慮し、子供の貧困対策や教育のデジタル化、リモート教育を進める必要もあるだろう。

持続可能な開発のための教育(ESD)の推進を行うことで、未来を担う次世代へのSDGs浸透を図ることも大切である。

また、それぞれの可能性を広げるためには、つながりや絆を強化することも重要だ。

地球規模の課題ともなれば、国際協調や連帯は不可欠である。

国際社会での信用や尊敬を集めるためには、世界的なイベントなどへの積極的な参加や推進を行うことも重要な取り組みだといえるだろう。

【これからのSDGs】新たな時代を見据えた取り組みが必要

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新型コロナウイルスの感染拡大により、現在世界は大きな変化に直面している。

SDGsアクションプラン2021としても、感染症だけではなく次なる危機に対しても重点的に取り組む内容が追加された。

わずか1年間で国や社会は劇的に変容したが、恐らくここまでの事態を予想できていたものは少ないだろう。

しかし、このような可能性は今後も起こり得ることであり、これからのSDGsは未来を先取りした社会変革に取り組まなくてはならない。

そのためにも、これからは政府、企業、個人などそれぞれの立場で変革への取り組みを行っていくことが必要ではないだろうか。

まとめ

今回はSDGsアクションプラン2021を中心に、今後重要視されていく取り組みについて解説した。

2020年のプランが設立された時期は、新型コロナウイルス感染拡大前のタイミングであったため、感染症関連は重点事項に含まれていなかった。

しかし今回はこの1年間の影響を加味し、感染症対策に加えて復興に向けた取り組みや将来の危険への備えがより重視されている。

誰もが安心して、取り残されることのない社会を実現するためには、一人ひとりの心がけが大切であり、SDGsの理解や普及にも積極的に取り組む必要があるだろう。