「世界の問題に気づいて行動しようとする人って、最高に素敵」 エネルギッシュな環境活動家のローレン・シンガーは、InStyleが先日行ったZoomインタビューでそう語った。「問題を解決して世界をもっと良くしようとする人、個人の力でポジティブな影響を与えようとする人は、めちゃくちゃ素敵!」
彼女はただ、自画自賛しているだけではない。ブログ「Trash is for Tossers(ごみを捨てるなんて最低)」を立ち上げ、持続可能な商品を取り扱う会社Package Free(パッケージ・フリー)の創設者兼CEOでもあるシンガー。彼女は、意識的にごみを出さない暮らしは個人の責任感から始まることを身をもって示そうと、全力を注いでいる。
「私が考えているのは、個人の視点でのゼロ・ウェイストです。つまり、私個人がごみを埋立地に送らないようにする、ということ」とシンガーは言う。「コンポストもリサイクルもしますが、それは最後の手段です。大量のエネルギーと化学薬品、水を使いますから」 彼女によると、平均的なアメリカ人は1日約2キログラムのごみを出し、その量は世界一だという。それをゼロにするのは相当難しそうだが、シンガーはやるだけの価値があると確信している。
「ごみを減らすために、ちょっとだけ何かを変えてみる。ほんの小さな変化でも、みんなでやれば大きなプラスの影響をもたらすはず」と彼女は付け足した。
人間による環境汚染の影響は日ごとに深刻化しており、政府や企業の責任を追及しようと世界中で若者が声をあげている。全世界で排出される有害物質の71%は、わずか100社の企業によるものだ。活動家も政治家も、国家レベルでの気候危機への対応を加速させるため、グリーン・ニューディールなどの政策を推し進めている。
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そうした状況の中でシンガーが重視しているのは、個人レベルのサステナビリティ(持続可能性)だ。消費者としての意識を高め、環境への負荷が少ない商品を優先して選ぶ、というようなことである。小さな頃から自然が好きだった彼女が、環境正義と社会正義という考えに目覚めたのは、レイチェル・カーソンの『沈黙の春』を初めて読んだときだった。この本は、1962年にニューヨーカー誌上で当初連載され、DDTなどの農薬がいかに大規模な環境破壊をもたらすかを訴えて、人々に衝撃を与えた。
「この本がきっかけで、サステナビリティの道を歩み始めたんです」とシンガーは話す。ニューヨーク大学を出ている彼女だが、在学中は授業にほとんど興味をもてなかったという。「ぼーっと空想ばかりしていました」と自身も認めているが、環境科学の授業だけは違った。「もう夢中でした。私がみんなと話したかったこと、発信したかったことが、それだったんです」
当時の授業を彼女はこう振り返る。「人からやれと言われたことをやるのではなく、自分がうれしくてワクワクすることをやるというのも、初めてでした。直感のままに動いた結果が、今の私のすべてにつながっていると思います」
Package Freeという店の経営もその1つだ。あたりまえのように使っている日用品の代わりとなる、ゼロ・ウェイスト、あるいはそれに近い環境にやさしい商品が、この店では何でも手に入る。売られているのは、使い捨てのラップやアルミホイルではなく、再利用できる蜜蝋ラップやシリコン製の食品保存袋。ほとんどの商品がプラスチックフリーで、竹などの持続可能性の高い資源で作られている。また、シンガーはSimply Co.(シンプリー)という会社も興し、環境にやさしい植物性の洗濯洗剤を作っている。この商品は、彼女がブログに投稿した手作り洗剤に読者が興味を示したことがきっかけで生まれた。
「自分が何をしているのか、まったく分かっていませんでした」と彼女は言う。その大胆な思いつきを形にできたのは、仕事を辞めて事業資金を募ったクラウドファンディングのプラットフォームKickstarter(キックスターター)のおかげだ。「車で遠出してたんです。そしたら、(Kickstarterに)24時間でお金が集まっていて」とシンガーは話す。「西海岸の北のほうにいたんですが、目が覚めたら、あれ、会社ができちゃったみたい。商品を作らなきゃ!と」
しかし、いつもそんな風にシンプルに事が進んだわけではない。生活をすぐには変えられない人たちとの間に気まずい空気が流れることもあった。それでも、自分のスタイルを守ろうとがんばってきた。「サステナビリティの話を始めると、そんな風になってしまうんです。私自身は誰も評価したり批判したりしているつもりはないのですが、私の暮らしぶりを知った人たちは、無意識に自分の評価を気にしだすんです」と彼女は言う。「そして、そうした話になると、きまり悪そうにしたり、困惑したり…」 だから彼女は、Package Freeのような店や彼女のブログを通して少しずつでも変化をもたらし、「(ゼロ・ウェイストは)本当に誰だって安心してできるし、気後れするようなことはない」と感じてもらえたらと願っている。
コロナウイルスのパンデミックによって数千万人が職を失った今、多くのアメリカ人が自分の消費者としてのフットプリントを見直している。小売が大幅に減少し、残り物から家庭用品まで、今あるものを最大限に活かそうとたくさんの人が考えるようになった。「隔離措置での在宅勤務もこれで5週目になります」とシンガーは言う。「この期間は、いろいろとあきらめなければなりませんでした。皆さん、そうだと思います。行く場所も、会う人も、会社の経営も、自分では思うように決められないんです」 それでも、この状況を乗り切ろうと、大ブームになったあのサワードウブレッド(伝統的製法のパン)作りや料理などに挑戦した人もいる。彼女は、ソーシャルディスタンスを保たなければならない状況が緩和されても、そうした人々の取り組みが続くことを期待している。
「『状況を変えられないとき、私たちは自分を変えられるかどうかを試される』という好きな言葉があります」 シンガーは、精神科医で心理学者だった故ヴィクトール・フランクルの著作『夜と霧』を思い出してそう言った。今のあなたが状況を変えることも、自分を変えることもできるとしたら――ゼロ・ウェイスト、試してみては?
この記事は、InStyleよりジェシカ・カスティーリョが執筆し(報告:シェリーニ・プーリアモリー・グリック)、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。