「すべてのファストファッション企業のCEOを一人残らずボツワナに連れていって、平手打ちを食らわせるべきね」 サステナビリティに関するコンサルタント会社エコエイジ(Eco-Age)の共同創設者で、クリエイティブ・ディレクターのリヴィア・ファースはそう話す。

今年2月、ファッションのサステナビリティをテーマにしたドキュメンタリー映像シリーズFashionscapesの最新作『The Diamonds of Botswana』(ボツワナのダイヤモンド、未邦訳)の試写会でのことだ。14分間のこのドキュメンタリーを手がけたのは、ファッション産業の闇を描いたドキュメンタリー作品『ザ・トゥルー・コスト~ファストファッション 真の代償』のアンドリュー・モーガン監督。アフリカ南部のボツワナでは、ダイヤモンドの持続可能な貿易が急成長を遂げ、幅広い世代の人々が貧困から脱する道を切り開いてきた。その秘密に迫っている。

ボツワナのダイヤモンド産業を知ろうと、同国を訪れたファース。今回のドキュメンタリーでは、鉱山でトラックを操る女性作業員から同国の大統領まで、あらゆる人々に話を聞く彼女を追っている。映像を通してファースは、この国のダイヤモンド産業では、企業と政府が手を組むという前例のない試みが決め手となり、コミュニティや人、動物、そして自然環境に繁栄がもたらされたと伝えている。 

試写会には、ファースとモーガン、それにボツワナのダイヤモンド産業を長年支えてきた二人の女性と並んで、デビアス社を代表してパット・ダンベが登場した。彼女の話では、同社のダイヤモンドの売り上げの7割がボツワナ政府にわたり、教育や住宅整備などの資金に充てられているという。また、アフリカ産のダイヤモンドはすべて、いわゆる「ブラッド・ダイヤモンド」(戦地で採れるダイヤモンドで、長引く紛争の要因になっている)だと思われているが、それは間違っているとも訴えた。「アフリカにある18の国がダイヤモンド産業に力を入れていますが、そのうち15の国で責任ある調達が行われています」と彼女は言う。

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このドキュメンタリーは、ポジティブな雰囲気が色濃い。「今日は壊してしまっても、明日には何とかなるはず」という思考で事業を進める企業の情けないニュースばかりが聞こえてくる中で、いい息抜きにしてほしいとモーガンは言う。「後から取って付けたやり方ではないというところに胸を打たれました。いま皆さんが耳にしているのは、昔から続く仕事のやり方に対する想いそのものを伝える物語です」

ファースは、「サステナビリティ」という言葉が今のように広く使われるようになるずっと前から、ファッション業界の変化の最前線で、覚悟を持ってこの問題に取り組んできた。エコ・エイジを立ち上げて以来、10年以上にわたって、同社の認証マークに値する、サステナビリティに配慮したブランドを積極的にアピールしている。この認証マークは、その企業が労働者の権利の尊重、コミュニティの経済的安定の強化、全社的なインクルージョンと平等性の推進など、エコ・エイジが定める優れたサステナビリティの基準をすべて満たしていることを表すものだ。

ファースはまた、「グリーンカーペットチャレンジ(Green Carpet Challenge, GCC)」という取り組みの発起人としても、サステナビリティに配慮したブランドを後押ししてきた。InStyleの2月号で「すご腕の女性50人(50 Badass Women)」に選ばれた際こう話している。「これからの時代、社会の一員としての積極的な行動、連携、新しいビジネスモデルが求められます。利益よりも、人や地球環境を優先させるのです。社会に対する正義も環境に対する正義と同じくらい大切です。むしろ、第一に考えるべきだと言えるかもしれません」。

ボツワナへの旅で、ファースは新たな希望を抱いたようだ。ドキュメンタリーの最後をこう締めくくっている。「この国は、もっと大きな何か――つまり、ビジネスを行う上での新たなビジョン――を体現しているのではないか。私はそんなことを考えながらボツワナをあとにしました。もしそうなら、誠心誠意しっかりと守っていかなければならない。そんな気がしています」。

 

この記事は、InStyleのシェリーニ・プーリアが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。