農業、レストラン、食料品のサプライチェーンで環境に優しい未来を築く3つの組織。

野菜とミルク イラスト:ガブリエル・ホリントン

ゼロからヒーローへ

アンソニー・ミントとカレン・レイボヴィッツという二人の若者が、非営利組織ゼロ・フードプリント(Zero Foodprint)を立ち上げたのは2015年のことだ。この組織では、レストランとその利用客からクラウドファンディングで資金を集め、農家が環境再生型のリジェネラティブ農業に切り替える支援をおこなっている。2020年には、ジェームズビアード財団から「Humanitarian of the Year(年間最優秀人道支援賞)」に選ばれた。ゼロ・フードプリントのRestoreプログラムに参加する提携レストランでは、支払額の1パーセントをリジェネラティブ農業に取り組む農家に寄付するオプションをお客が選べるようにしている。「気候変動を抑えるために自分もできることをしたいと、多くの人が望んでいます。ポジティブな変化の輪に加わって、前向きな気持ちになりたいのです」とレイボヴィッツは言う。「食事をすることで、よりサステナブルな土壌づくり、収益向上、気候変動に負けない農業の実現に取り組む農家を支援できる。しかもそれが、ほんの数セントで叶うのなら、みんなそうします」

完璧じゃないけど完璧なモデル

カリフォルニア発のインパーフェクトフード(Imperfect Foods)は、「思いやりがあってムダのない世界」というモットーの実現に向けて奔走している。同社は、普通なら捨てられてしまう余った食品や「形の悪い」規格外作物をサプライチェーンから救い出し、あらためて利用してもらえるよう、全米の消費者に低価格で効率よく届けている。コロナ禍でサプライチェーンが混乱すると、インパーフェクトフードはすぐに動いた。そして、休業中のレストランで使われるはずだった新鮮なカット野菜から、映画館のポップコーン、さらには欠航便で配られる予定だったチーズやスナックなどの機内食まで、あらゆるものを買い上げた。どれも捨てられる運命にあったものだ。「いい食品だけど高すぎて手が出ないというのはよくないと思う。新鮮な野菜や果物を誰でも買えるようにすべきです」と、サステナビリティ責任者のマディ・ロットマンは語る。

プラスチックフリーの台所

ゼロ・グローサリー(Zero Grocery)は、牛乳屋のモデルにならって事業を展開している。利用者は生産者と直接契約を結び、地元産がメインの高品質な肉や魚、乳製品、農産物を、繰り返し使える包装やガラス容器で購入できる。食べ終わって空になった容器は、次の配達時に玄関先で回収され、再利用される。2019年に同社を設立したズレイカ・ストラスナーは、ニカラグアに旅行した際、浜辺に打ち上げられた使い捨てプラスチックのごみを見て行動を起こした。「梱包と流通の段階でベンダーと協力するようになりました。環境に配慮した持続可能なサプライチェーンを自分たちで築き、こうした食品をプラスチックを使わずに販売できるようにしたかったのです」とストラスナーは話す。ベイエリアを拠点とするゼロ・グローサリーは、最近ロサンゼルスにも進出した。「一つひとつの台所から、ゼロ・プラスチック運動をリードする」という目標に向かって、賛同してくれる農家と生産者をどんどん増やしている。

この記事は、Food & Wineよりアンターラ・シンハが執筆し、Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはすべてlegal@industrydive.comまでお願いいたします。