日本政府をはじめ、企業や大学など、多くの組織でSDGsの達成に向けた取り組みを進めている。大学の講義でさまざまな組織の取り組み事例を知り、興味を抱いた学生もいるのではないだろうか。

この記事では、大学に焦点をあてて、大学がSDGsのゴールに向けた取り組みを進める意味、事例を紹介する。

多くの大学がSDGsへの取り組みを行っている

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SDGs(エスディージーズ:持続可能な開発目標)とは、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された開発目標だ。2015年9月に、国連サミットで採択された。

誰ひとり取り残さない社会の実現のため、各国政府をはじめ、さまざまな主体がSDGsの達成に向けて役割を果たすことが求められている。

大学などの各種教育機関も例外ではない。STI for SDGs(SDGs達成のための科学技術イノベーション)推進への期待のなか、さまざまな分野の研究機関が整った大学の存在は大きいからだ。

大学が、SDGsのゴールに向けた取り組みを進める意味は大きく、さまざまな期待がされている。

日本の大学が行ったSDGsの取り組み事例を4つ紹介

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SDGsの達成を目指して、高等教育機関あるいは研究機関として、大学ではどのようなことができるのか。日本の大学がSDGsの達成に向けて進めている取り組みを4つ紹介する。

事例1.「キャンパスSDGs」プロジェクト

「キャンパスSDGs」プロジェクトに取り組んだ慶應義塾大学の事例を紹介する。「キャンパスSDGs」プロジェクトは、学生ひとりひとりがSDGsをはじめとした社会問題を知り、アクションを促すことを目的としたプロジェクトだ。

SDGsは国際目標ではあるものの、ひとりひとりの行動が目標達成に影響することに注目した。まずはひとりひとりに認知してもらおうというのがプロジェクトの趣旨である。

「キャンパスSDGs」プロジェクトでは、SDGsを身近に知ってもらうことに主眼を置き、ステッカー制作が行われた。制作されたステッカーは、2500枚。学生が集まる教室や食堂、トイレなど、キャンパスのあらゆるところに貼られた。

ひとめで見てわかるように、ステッカーにはSDGsのロゴのほか、ロゴに関連するターゲットと一言メモ、SNS連携も記載。認知するだけでなく、次の行動に移すきっかけを作ったこともポイントだ。

プロジェクト開始から数週間後の調査では、SDGsの認知度が高まったことがわかり、プロジェクトの成果が見られた。

事例2.「地球環境問題への貢献」

早稲田大学環境総合研究センターに設置された「W-BRIDGE」の事例を紹介する。

W-BRIDGEは、地球環境問題への貢献のため、早稲田大学と株式会社ブリヂストンとの共同で設置された。設置年は2008年で、SDGsが採択される前のMDGsの時代から存在することになる。

W-BRIDGEは、MDGsからSDGsへ目的を変化させた。「自然との共生」、「資源の循環の仕組み」、「2050年視点からの二酸化炭素の削減」、「環境保全の知見や手法の広がり」を主な目的としたプロジェクトを実施している。

プロジェクトは2009年1月から始動。1年単位で地球環境に注目した取り組みが行われている。第12期にあたる2019年7月から1年間は以下の分野での研究が行われた。

・天然ゴム生産やゴム農園周辺の森林保全

・森林減少をなくすためのサプライチェーン管理

・条件不利地域の公共交通モデル

・SDGs達成を目指すアクションと社会価値の創設

・大規模環境破壊からの地域再生

事例3.食品ロス削減及び有効活用の実践と地域づくり

岡山県にある美作大学では、SDGsの達成に向け、食品ロス削減及び有効活用の実践と地域づくりの取り組みが行われている。

主体となっているのは、2014年に正式にサークルに認められた美作大学の食品ロス削減サークルだ。参加メンバーの学生のほとんどが、管理栄養士の免許を取得し、将来、教育、病院などのさまざまな機関で、食の専門家として活動することを目指す。

食品ロス削減サークルで実際に行われた活動は以下のようなものだ。

・フードバンクに寄贈された食材の仕分けや運搬

・フードバンクに寄贈された食品を使った献立作成、地域住民と協力しての調理作業、子どもなど参加者との食事

・地域イベントでの食品ロス実態のパネル展示

・一般家庭のロスを回収するフードドライブの活動とコミュニティレストランの開催

これらのように、美作大学は、食品ロスについてより多くの人に知ってもらおうと、地域住民との交流をとおした活動を行っている。

結果として、食品寄贈の問い合わせが増えるなど、地域住民の意識向上がみられるようになった。参加した学生の地域社会での貢献も期待されている。

事例4.「KANDAI for SDGs推進プロジェクト」

関西大学では、SDGsの達成に向け、「KANDAI for SDGs推進プロジェクト」を学長の下、設置している。ワーキンググループを編成して、SDGs達成のための課題を洗い出し、具体的な取り組みを決め、情報を発信することが目的だ。

プロジェクトの設置により、国際社会の協働パートナーシップの下、大学を主体にSDGsの研究や社会貢献を展開してきた。17の目標すべてを視野に入れた、豊富な取り組み実績がプロジェクトの強みだ。

関西大学では、研究などの大学での取り組みがSDGsのどの目標と深く関係しているかひとめで分かるように、ホームページ上での情報発信も行っている。

大学卒業後もSDGsの活動は続く…

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ここまで、日本の大学でSDGsの達成に向けて行われている取り組みをいくつか紹介してきた。「できることからはじめてみたい」、「SDGsにもっと興味を抱いた」という学生もいるかもしれない。

もちろん、取り上げた事例のように大学での取り組みは重要だが、SDGsの活動は大学在学中に限られた話ではない。

前述したように、SDGsは誰ひとり取り残さない社会を目指しているからだ。誰ひとり取り残さないためには、より多くの人がSDGsに関心をもち、取り組みを始める必要がある。

SDGsについて調べてみると、大学に限らず、企業や公共団体など、さまざまな組織がSDGsの達成に向けて活動していることがわかる。大学卒業後もSDGsの活動は続くだろう。

SDGsに取り組む企業へ就職する人は多い

大手企業をはじめ、今やさまざまな企業がSDGsのゴールに向けた取り組みを進めるようになった。外務省の運営する「JAPAN SDGs Action Platform」では、企業の取り組み事例を調べられるが、掲載されている企業だけでもかなりの数になる。

企業に就職してからも、SDGsの達成を意識した取り組みにふれる機会は十分にあるのだ。

また、最近では、就職先選びの新たな基準として「SDGs」を上げる就活生も見られるようになってきた。

社会に対する意識が高い企業という点でSDGsの達成に向けた活動を行っている企業は魅力的だからだ。

協和キリンの目指す持続可能な社会

協和キリンでも、CSV経営をとおして、積極的なSDGsのゴールに向けた取り組みを行っている。CSV経営のCSV(クリエイティング・シェアード・バリュー)とは社会と共有できる価値のことだ。

SDGsの取り組みをとおして、社会的価値の創造、経済的価値の創造の両立を行い、企業価値を上げるCSV経営を行っている。

協和キリンがSDGsと関連するCSVの重点課題として上げているのが、人権、職場づくり、環境、公正な事業環境、消費者課題、コミュニティだ。重点課題を軸に、協和キリンでは社会的な要請を認識し、適切な取り組みが行えるようにしている。

協和キリンのCSV経営についてはこちら

まとめ

2015年に採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に盛り込まれたSDGsは、政府機関だけでなく、さまざまな組織に広がりを見せた。

記事で紹介した慶応大学の事例などのように、大学でもSDGsの達成に向けての取り組みが行われている。学生間の認知度も高まってきているのではないだろうか。

SDGsの取り組みは、大学などの研究機関だけでなく、企業でも行われている。持続可能な開発を目的としたSDGsと企業の関係は、企業の将来性という点でも関心が高い。一部の就活生では重視する項目のひとつとなっており、企業とSDGsの関係は今後ますます注目が期待される。