体調が悪いとき、あなたならどうするだろうか。日本で生活をしていれば、近くの病院を受診することが当たり前にできるだろう。

しかし世界に目を向けると、このように恵まれた環境はあまりに少ないのだ。世界共通の目標として、2015年にSDGs(エスディージーズ:持続可能な開発目標 )が発表されたが、その中のひとつにも健康に関わる項目がある。

それが目標3の「すべての人に健康と福祉を」である。今回はこの目標について詳しく解説し、具体的な取り組みについても説明していく。

SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」とは

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近年、健康を意識する人は増えており、医療や福祉の充実には高い関心が寄せられている。

SDGsの掲げる17の持続可能な開発目標にも、健康と福祉については明記されており、世界的にも重要とされているのだ。

それでは、どのような内容が目標として考えられているのか紹介していく。

人々の健康と福祉の確保を目指す

「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」これがSDGsで提唱された目標である。

つまり、どんな人間でも差別されることなく、最高水準の健康と適切な保健医療サービスを確保できるようにすることが目的だ。

取り組みをより具体的に行えるよう、13の項目を課題としても定めている。

大まかな内容は、以下のとおりだ。

・妊産婦や新生児、5歳以下の子どもの死亡率を大幅に改善もしくは死亡させない取り組みを行うこと。

・エイズや結核などの伝染病を根絶し、肝炎や水などを介した感染症全般の対策を行うことと、非感染性疾患に対しても精神保健と福祉を充実させて若者の死亡を減らすこと。

・薬物乱用やアルコールの過剰摂取など、物質乱用の防止と治療を強化し、全世界でたばこの規制を適宜強化すること。

さらに、国々の健康危険因子に対する管理能力、保健財政や保健に関わる人材の能力向上なども目指している。

国内だけでは対処が困難な場合もあるため、研究開発の支援や医薬品に関わる貿易を柔軟に対応できるように権利の確約もなされた。

また有害物質や水質、土壌によって起こる感染や疾病による死亡リスクの大幅な軽減も課題のひとつとして考えられており、目標6「安全な水とトイレをみんなに」などの生活にまつわる衛生球環境に関する目標と共通する部分もある。

環境と健康は密接に関連しており、同時進行で改善が必要だということだろう。

このように、SDGsの健康と福祉においては、貿易などでも支援しながら国の管理力や人材を育て、健康を阻害する疾病などのリスクや死亡率の改善を目指しているのだ。

目標3が生まれた背景

そもそも、なぜこの目標が考えられたかというと、途上国を中心に、世界には貧困などが原因で医療体制が不十分な国が数多くあるためだ。

日本は世界的に見ても医療が充実しており、近くに病院がある人も多いだろう。体調を崩したときには誰でも受診できる環境が整えられているのだ。

さらに、医療保険が適用されているため、費用に関しても自己負担が少ない。金銭の問題で、一度も病院に行ったことがないという人はほとんど居ないだろう。

しかし、この日本国内ですら地域によって受けられる医療には差が見られる。都市部に行くほど病院の数が増え、地方に行くと大きな病院が少ないというのは想像しやすいだろう。

この現象は地球規模でも起こっており、医療従事者や医療施設の絶対数が少なく、多くは大都市に偏っている状態だ。

また大都市であっても医療サービスの費用が高く、貧困層は受診することすらできない場合もある。

国によっては、日本の地方とは比べものにならないほど医療体制が整っておらず、死亡率も高いところもあるのだ。

このような地域や国、貧富の違いによる医療格差をなくし、世界で医療や福祉が充実することですべての人々か健康に生活できるように目標3が掲げられたのだ。

SDGsの目標3の取り組み事例

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それでは、実際の取り組みについて、日本や国内企業の事例を紹介しよう。

日本政府の取り組み

SDGsを元に、「健康的な生活の確保」を目標に日本政府が取り組んだ内容を紹介していく。

まず2015年9月に「平和と健康のための基本方針」を策定した。この方針内容は大きく3つに分けられている。

ひとつ目は、公衆衛生危機や災害時などに対する国際健康安全保障体制を強靭に構築することである。

これは、公衆衛生を適切に管理し、感染症や災害などに対しての予防や対策を強固にすることで、緊急時にも迅速に対応できるシステムを作っておくことを意味している。

また、感染症や伝染病はその国内だけではなく、全世界へ影響を及ぼす。そのため、対応の速さによっては国際的な問題にも発展する危険性があり、それを防ぐ目的もある。

ふたつ目は、すべての人が負担可能な費用で必要な保健サービスを受けられるようにする取り組みである。

健康を保つためには予防だけでなく、人々の身近に適切な治療体制を確保する必要があるといえる。先ほどにもあった、医療格差の解消にもつながることも期待される。

最後は、このふたつの取り組みに関しては、日本の保健や医療に関わる人材、スキルを活用することである。日本の医療や保健を駆使して、世界にも貢献していく姿勢を見せている。

そして、2017年12月には「UHCフォーラム2017」を開催し、グローバルファンド、WHOに対して約29億ドルを拠出する方針を表明した。

企業の取り組み

国内の企業でも、さまざまな側面から目標に向けた取り組みが行われている。

例えば大手運送会社による命をテーマにしたアート展の開催は、命の尊さに気付くことで、ひとりひとりが守られる社会の実現を目指したものだ。

大手食品会社が行っている、機能性食品の研究開発をとおした栄養問題への取り組みは、高齢者を中心にした栄養状態の改善に着目している。

食をとおして、健康維持や疾病予防が考えられているのだ。

これらのように多くの企業が取り組みを始めているが、協和キリンも日本を代表するライフサイエンス企業として、医療用医薬品事業による目標3の達成を目指している。

特に治療法が確立されていない疾患など、新薬が求められている部分の課題解決は、世界の医療にも貢献できる重要な取り組みである。

また「生活習慣の改善」「がん対策」「ストレス対策」「働き方の改革」の4つのテーマを軸に、従業員の健康増進を目的とした健康経営の取り組みも行っており、従業員の生涯に渡る健康づくりを目指している。

「協和キリンのCSV経営についてはこちら」

目標3の達成に向けて個人ができること

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目標達成のために取り組むことができるのは、大きな組織や企業だけではない。個人でもできることはあるため、ひとりひとりが意識を持って行動することで世界にも貢献できるのだ。

寄付や募金をする

代表的な取り組みには寄付や募金がある。医療の充足のためには、人材だけではなく多くの資金が必要だろう。

支援を必要としている国や地域は多数あるものの、資金不足で取り組みが行き届いていないのが現状である。

支援団体などへの寄付によって、途上国の医療支援や学習道具の購入費用などに充てられる。個人でも寄付をすることによって目標への取り組みとなるだろう。

支払方法は団体によって異なるが、現在ではWebから簡単に手続き可能なケースがほとんどである。

<寄付による支援例>

・2円:ビタミンAカプセル1錠

・70円:ビタミンやミネラルの入った微量栄養素パウダー30袋

・147円:経口ポリオワクチン10回分

・553円:使い捨て注射器100本

・1526円:栄養不良を助ける栄養治療食50包 など

寄附は、少額からでも可能だ。所得に関係なく、誰でも無理のない範囲で価値のある取り組みへ手助けができるだろう。

ボランティア活動をする

人材不足を補うため、ボランティアに参加することも個人で取り組める活動だ。活動内容は、海外の途上国などへ赴き、現地ボランティアとして参加する方法がある。

しかし、海外での活動は時間と労力が必要になるため、今すぐに始めることは難しい人が多い。

ならば、寄付や募金活動のPRスタッフなどが、日本国内でもできるため比較的取り組みやすい活動だろう。

さらに、SDGsについてSNSなどを使って周りに発信することも、個人でできる取り組みのひとつである。

そのため、まずは自身がSDGsについて内容を理解して、広い視野を持って物事を考えることが大切だ。

まとめ

今回はSDGs3の目標である「すべての人に健康と福祉を」と、その取り組みについて解説した。

この目標は、どのような人でも健康に過ごせる世界を目指しており、そのための具体的な取り組みについても課題を提起している。

日本の国内企業も世界の人々に貢献できるよう活動しているが、個人でも寄付などできることは多くある。SDGsを知り、ひとりひとりが支え合う気持ちや意識を持つことでも目標の達成が近づくだろう。