NTTスマイルエナジー(本社:大阪市中央区)は、自治体の学校施設へ太陽光発電設備を無償で設置するプロジェクトを展開。災害時に広域防災拠点の指定を受けている公立学校に自立運転の電力源を備える。

低圧太陽光発電の遠隔監視サービスでトップシェアを持つNTTスマイルエナジーが2017年度から「学校への太陽光無償設置プロジェクト」に取り組んでいる。地域の防災拠点としての機能向上を図るとともに再生可能エネルギーの普及拡大を支援する狙いがある。同プロジェクトを活用し、すでに複数の自治体で約400校の事業を受託し、小中学校で設置工事に向けた準備を進めている。

設備導入の初期投資やメンテナンス不要で導入学校が急増中

日本では学校の多くが広域防災拠点に指定され、災害時の避難所としての役割を果たしている。だが、緊急時の自立電源としても活用できる太陽光発電設備の普及率は公立小・中学校において25%未満にとどまっている(平成27年度、文部科学省調査)のが現状だ。

こうした状況をふまえ、名古屋市や大阪市などにおいて校舎の屋根を発電事業者に貸与し、自治体がコストを負担することなく発電事業を実施する手法が普及しつつある。同社も18年度に複数の自治体で約400校の事業を受託し、すでに一部の学校で設置工事に向けた準備を進めている。

同社はこうした取り組みを全国に広げていこうと、自治体の学校施設へ太陽光発電設備を無償で設置するプロジェクトを17年12月にスタート。スキームは、同社が設備の設置に必要な資金調達を担ったうえで、学校から屋根を有償で借り、太陽光発電設備を所有・運営。発電した全量を売電し、収益を得る。

学校(自治体)側にとっては、災害時における避難所の自立電源を確保できるほか、太陽光発電設備導入の初期投資やメンテナンスが不要になり、屋根を貸与することによる賃料収入や税収(設備の償却資産税)の拡大にもつながる。

設備の設計・施工・運用保守は、すでに学校で約200校の施工実績を持つ柴田工業(名古屋市)が担当。学校での設置において何より大切な安全性に配慮した技術力を持つ柴田工業との連携もアピール材料になっている。現在、関西、東海、九州エリアを中心に自治体に向けた提案活動を続けている。同社は、「今年は地震、豪雨、台風など特に自然災害が頻発したことにより自治体から直接問い合わせをいただくことも増えている。再生可能エネルギーの推進、環境教育といった観点からも学校に導入する意義は多く、メリットを伝えながら普及を後押ししていきたい」と今後を見据えている。 

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イメージ写真:ウィキメディア・コモンズ「東日本大震災/新宿駅に集まる人たち」(2011年3月11日)

この記事は、環境ビジネスオンライン 2019年02月18日号より、アマナデザインのパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせは、licensed_content@amana.jpにお願いいたします。